統合を機に物流や在庫管理の仕組みを刷新

 コニカミノルタ情報機器事業部門の補修部品事業で管理する保守部品点数は、17万点に達する。このうちフィルタといった消耗部品約100点が売り上げの半分を占めるが、そのほかの部品も本体生産終了後7年間は供給義務があるため保管する。

 今回の取り組みに着手した2004年以前は、こうした補修部品の必要量は欧州や米国など各地域の販売会社で個々に見積もって倉庫管理していた。コニカミノルタは、本社や工場にある在庫は把握していたが、こうした販社の在庫を2004年以前は把握していなかったという。

CS統括部部品サービス部の清水俊和部長(中央)と部品計画グループの細谷清美グループ長(右)、福本博彦係長(左)
CS統括部部品サービス部の清水俊和部長(中央)と部品計画グループの細谷清美グループ長(右)、福本博彦係長(左)

 従来、販社側の在庫を削減しにくい理由は主に2つあった。1つ目は、「販売会社が発注してから納品するまでに60~90日間もかかっていた。販売会社は欠品を恐れて多めに発注していた」(CS統括部部品サービス部の細谷清美部品計画グループ長)ことだ。そもそも物流の経路が長かった。補修部品は中国の3工場で生産し、深センの中継倉庫で集約し、日本の愛知県豊川市の倉庫で保管。販社からの注文に応じて各会社へ送っていた。

 2つ目が本社が各販社の需要予測担当者の予測と注文量を精査することなく製造部門へそのまま発注していたことだ。

 第1段階では、旧コニカと旧ミノルタのシステム統合や倉庫の集約に取り組んだ。2004年5月に旧2社の基幹システム(独SAPのR/3)を統合。2004年8月までに旧2社の中国内の部品倉庫も集約した。

 だが統合直後は混乱を極めたという。「中国の倉庫は、24時間フル稼働しても出荷が追いつかない状態になってしまった」(細谷グループ長)。原因は、部品コードの変換ツールが思うように稼働しなかったことだった。旧2社の部品コードを入力すると、新しい部品コードに変換するはずが、当初機能しなかった。システム統合前に80%台を保っていた納期達成率は50%台へと急落した。「販売会社は不信感から安全在庫をより積み増してしまうようになっていた」(CS統括部部品サービス部の清水俊和部長)と当時を振り返る。

 統合から4カ月後の2005年1月には変換ツールが正常になり、納期達成率が80%台に回復した。

自動補充や需要予測の仕組みを導入

 2006年から第2段階の取り組みを始めた。まず実施したのが、自動補充方式の導入と、自動補充の在庫基準量の本社管理だ。

 在庫基準量を本社側で決めるに当たり、2006年8月に新たにITツールを導入した。本社と各販売会社から月次の受注実績と在庫量を収集し、需要予測を行い、発注計画を立案する機能を持つツールだ。ITツールにはサービジスティクスアジア(東京・港)の保守サービス業務向けパッケージソフト「サービス パーツ マネジメント」を採用した。

●システムの概要と情報の流れ
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 販社の在庫管理を厳しくした途端に、本社倉庫の在庫量は数カ月にわたって増加した。それまでの販社の在庫量が、システムが弾き出した適正量を大幅に上回っていたことの表れだった。CS統括部部品サービス部部品計画グループの福本博彦係長は「減るはずの在庫が増えてしまい、経営陣に理解してもらうのが大変だった」と振り返って苦笑する。

 販社への納期を短縮するため、部品の搬送経路も変えた。2007年2月に中国の製造拠点から需要の大きい部品については販売会社の倉庫へ直送するようにした。従来は深セン市と愛知県豊川市の倉庫を経由していたのに比べると、これだけでも大幅な短縮だ。さらに2007年7月からはプリント基板といった100g以下の軽量で高額な補修部品4万~5万点は船便から空輸に切り替えたので、補充指示が出てから販社の倉庫に入庫するまでのリードタイムが60日から15日へと短縮された。

●部品の流れ
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