複写機などを製造するコニカミノルタビジネステクノロジーズ。2003年に旧コニカと旧ミノルタの情報機器製造部門が統合して誕生した。経営統合を機に、補修部品の在庫最適化プロジェクトに着手した。17万点ある補修部品の在庫をIT(情報技術)活用で2割削減する成果を上げている。

 コニカミノルタホールディングスの情報機器事業部門であるコニカミノルタビジネステクノロジーズ(以下コニカミノルタ)は、単価100万円以上の法人市場向けA3カラー複合機が海外市場で高いシェアを持つ。米調査会社、ガートナーグループによると2008年11月現在で出荷台数シェアは、欧州ではリコーに次いで2位、米国ではキヤノンに続いて3位と上位に食い込んでいる。「2008年に米国で販売店網を買収した効果も、今後表れてくるだろう」(ガートナージャパンの三谷智子プリンティングマーケット担当主席アナリスト)と勢いを高く評価されている。

 同社は2003年に旧コニカと旧ミノルタが合併して誕生したが、翌年の2004年から補修部品の在庫削減に取り組んできた。その取り組みは2段階で進んだ。まず第1段階は2004年から2006年までの旧2社の基幹システムや物流拠点の統合などインフラ整備。第2段階は2006年からで、補修部品専用の需要予測システムを導入し、自動補充の仕組みを取り入れた。補修部品在庫がおよそ2割減る大きな成果を生んでいる。

●主要拠点である欧米と日本の倉庫の在庫の推移
●主要拠点である欧米と日本の倉庫の在庫の推移
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 SCM(サプライチェーン・マネジメント)の動向に詳しいアビーム コンサルティングのの小幡哲丈執行役員プロセス&テクノロジー事業部プリンシパルは、「補修部品の削減が注目され始めたのは、景気の見通しが怪しくなってきた2007年からだ。成果を出せた事例もまだ珍しいだろう」とコニカミノルタの先進性を評価する。

 補修部品は生産用部品に比べて、品目数が数倍多い。過去数年分の機種の部品を管理する必要があるからだ。また、故障時の対応は顧客満足度にかかわるため、販社側は安全在庫を多く持ちたがる。部品の製造打ち切りへの対応も悩ましい問題だ。