NHKの関連会社で語学番組などの制作を手がけるNHKエデュケーショナル(東京・渋谷)は2009年6月1日、語学学習支援サイト「ゴガクル」(http://gogakuru.com/)をリニューアルした。英語学習者向けにコミュニティー機能を強化し、「孤独な語学学習を楽しく持続的なものにしてもらう」(デジタル事業推進部の奈良和江エグゼクティブプロデューサー)ことを狙った。同サイトは2007年4月の開設以来、英語、中国語、フランス語など9言語の学習番組を見ている視聴者に対して番組内で使われたフレーズや例文を掲載してきたが、リニューアルを機に番組視聴者以外も幅広く取り込む方針だ。サイト構築はIT(情報技術)ベンダーのネットイヤーゼロ(東京・渋谷)が担当した。

 今回、ゴガクル上の英語学習ページに新たに2つのコンテンツを設けた。まずは「フレーズ集」機能だ。会員登録したユーザーはゴガクル内に4000以上ある英語のフレーズや例文のストックの中から、自分が学びたいものを収集して、「簡単に覚えられそう」や「旅行に役立つ」などテーマに合わせた独自タイトルを付けられる。作成したフレーズ集はゴガクル上でほかの会員にも公開される。ほかのユーザーにたくさんブックマークされた人気のフレーズ集はトップページで紹介もされる。フレーズはキーワードやジャンルなど様々な切り口で検索できるようになっている。

 もう1つは「おぼえた日記」だ。本人による日記に加えて気になるフレーズを登録しておき、英訳、和訳のテスト機能を利用してから「おぼえた」「おぼえてない」のチェックを入れられる。月間の目標に対していくつフレーズを覚えたのか、いつ何を覚えたのかなどを記録しておける。こうした学習の進ちょく状況も公開されるため、ユーザーの発奮材料になる。

 もともとゴガクルは、英語の語学番組制作をしていたNHKエデュケーショナルに、新たに8言語の語学番組の制作が移管されたのを機に作られた。ただし、開設当時は「番組にとってプラスアルファの存在。広報的な位置付けのサイト」(語学部の篠原朋子統括部長)に過ぎなかった。当然、ゴガクルを訪れるユーザーは熱心な番組視聴者に限られる。サイトの運営費は企業からの広告出稿を想定していたが、ページビュー(PV)は伸び悩んだ。ゴガクルの月間PVはリニューアル前の2009年5月段階で約215万だったが、リニューアル1年後の2010年6月にはおよそ3倍の600万PVを目指している。

 今回のリニューアルで、ユーザーはフレーズ集や日記によって互いの存在を意識できるようになった。しかし、日記にコメントを残したり、メールを送ったりといった一般的なSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトでは当然の機能の導入については、NHKエデュケーショナルは今のところ慎重である。