写真●ファミリーマートのCRMの起点となるTカード。<br>TSUTAYAの会員証もファミリーマートで使える
写真●ファミリーマートのCRMの起点となるTカード。
TSUTAYAの会員証もファミリーマートで使える
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 ファミリーマートが2009年11月までに新たに稼働させる予定のCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システム、「ロイヤルカスタマー優遇システム」の詳細が明らかになった。同システムの導入計画は同年4月の決算説明会などで既に表明していたが、これまでは概要しか公にしていなかった。

 新システムは、ファミリーマートが加盟するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「Tカード」の顧客管理システムと、CCCが展開するレンタルソフト店「TSUTAYA」で稼働しているリコメンド(推奨)システムをベースにして、独自に開発している。

 新システムの大きな特徴は、顧客がレジでTカードを提示した時に得られる購買履歴を基に、優遇対象になる顧客を設定できることだ。対象顧客は主に「来店頻度(一定期間における来店回数)」と「購買商品の傾向」という2つの切り口から抽出する。一定期間Tカードのポイントを2倍にしたり、レシートにその顧客の好みに合った商品の割引クーポンを印字したりすることで、こうした優良顧客の囲い込みを図る予定だ。

“ご飯派”と“パン派”には別々の商品をリコメンド

 総合企画部マーケティング室CRMグループの山崎栄司マネジャーは「同じランチタイムに買い物をするお客様でも、明らかに買い方の傾向に違いがある」と説明する。例えば、ランチタイムの購買傾向を分析し、米飯系の商品をよく購入している人とパン系の商品をよく購入している人を分類したうえで、印字する割引クーポンの内容を決定することを検討している。

 この時期に新システム導入を決めた理由について、山崎マネジャーは「ファミリーマートのお客様にカードを提示する習慣が浸透し、本格的なCRMを始めるための基盤がようやく整ったからだ」と説明する。コンビニ各社はそれぞれポイントカード・CRM施策を展開しているが、その前提となるカードの提示率が上がらないケースが多い。

 ファミリーマートは2年前の2007年からカード提示率向上に向けた布石を打ってきた。同社は以前、独自のポイントカードを発行していたが、会員基盤が思うように拡大せず、約170万人(2007年4月末)にとどまっていた。そこで2007年11月からTカード加盟へと切り替え、TSUTAYAの会員証をそのままファミリーマートで提示できるようにした(関連記事)。約3200万人に上るTポイントの会員基盤を取り込むとともに、この2年間、ファミリーマートのレジで「Tカードをお持ちですか?」という声掛けを徹底した。これによってカード提示率は徐々に向上し、「過半数までは行かないが相応の水準に達した」(山崎マネジャー)。ファミリーマートでカードを提示するという顧客の習慣が定着しつつあるタイミングで、新システムの導入に踏み切る。