ネスレ日本神戸本社内の「ネスレVOCセンター」
ネスレ日本神戸本社内の「ネスレVOCセンター」
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 ネスレ日本(神戸市)は4月30日、本社内に「ネスレVOCセンター」を開設した。従来は「お客様相談室」と「トゥギャザー・ネスレ リレーションシップ・センター」、「ネスカフェ ドルチェ グスト クラブ」向けの3つのコールセンターを運営していた。これからはそれぞれの強みを持ち寄り、顧客接点の強化を図る。ネスレ日本は経営戦略における4本柱の1つとして「消費者コミュニケーション」を挙げており、同センターはその核となる。

 既存の3つのコールセンターのうちお客様相談室は、同社製品に関する電話窓口としてネスレ日本の神戸本社内で一般問い合わせを受け付けてきた。

 トゥギャザー・ネスレ リレーションシップ・センターはロイヤルカスタマー専用の電話窓口として2004年5月に新設したものである。ロイヤルカスタマーは製品パッケージに付いているポイントマークを集めて応募することで登録される、いわば同社のファンクラブ組織だ。この電話窓口では、自社製品に関する情報の提供だけではなく、子育てや地域環境などの世間話も顧客と交わして、幅広い話題から顧客ニーズを汲み取るとともにネスレ製品に対するロイヤルティーを培ってきた。トゥギャザー・ネスレ制度そのものは2000年にスタートし、現在170万人の登録者がいる。

 ネスカフェ ドルチェ グスト クラブは家庭で本格的なコーヒーを楽しむためのカプセル式ホームバリスタシステム「ネスカフェ ドルチェ グスト」購入者の会員組織だ。専用の電話窓口を運営するコールセンターが、本社近くの建物内にあった。

 お客様相談室とネスカフェ ドルチェ グスト向けコールセンターは、豊富な製品情報を効率的に提供できるようにオペレーターを教育してきた。これに対してトゥギャザー・ネスレ リレーションシップ・センターは、「お客様と友達になるくらいお話しよう」というコンセプトを掲げて運営してきており、1回の平均対応時間がほかの2つのコールセンターよりも長かった。

 こうした運用方針やオペレーターの資質が異なる3つのコールセンターを統合することによって、製品知識と効率性、顧客との信頼構築という長所を集めた顧客接点を築く。すでに「Delight consumer お客さまの喜ぶ顔が見たい」「Consumer insight お客さまの心のつぶやき」など7つからなる「ネスレVOCセンター ミッション ステートメント」を制定し、50人のオペレーターに配布済みだ。今後の同センター運営についての指針となる。

 また、ネスレVOCセンターには同じフロアに「フォーカス・グループ・インタビュールーム」を併設した。本社内にインタビュールームを設けることで製造やマーケティング、営業など社内各部門が消費者の声を共有しやすい体制になった。6月からは、ロイヤルカスタマー会員を招いて商品開発につながるインタビュー専用の空間として活用していく予定である。