日本郵船は4月1日、IT部門を組織再編する。日本郵船本体にあるIT戦略グループと子会社でシステム開発を担うNYKシステム総研(東京・中央区)を統合し、新会社NYK Business Systemsを設立する。システム企画と開発部門を統合することで、IT部門の強化を図る。これまではIT戦略グループがユーザー部門との窓口の役割を果たしていたため、NYKシステム総研は直接ユーザー部門の声を聞ける体制ではなかった。再編により、システム部門と業務部門の連携を強化する。

 日本郵船は2008年度までに会計や定期運航船向けの主要な基幹業務システムの刷新を完了したのを機に、組織改革を実行した。他社の取り組みを参考にしながら、これまで3年かけてITベンダーと共同会社を設立する案など最適な組織について議論してきた。

 企画と開発部門が一体化することで、保守運用の最適化を図る。日本郵船IT戦略グループの江黒孝夫グループ長(4月1日よりNYK Business Systems執行役員)は「従来は不必要にシステムを二重化するなど過剰な投資をしていることがあった。根本的な原因であるユーザー部門とのあいまいな関係を断ち切る」と話す。半年以内に各システムに求める性能や提供時間などをユーザー部門と協議し、サービスレベルを再設定する。過剰なシステム構成などを見直す材料にし、保守運用コストの最適化につなげる。

 日本郵船のIT戦略グループにはコスト削減の項目を見つけて提案する制度がある。通信回線の契約見直しやデータセンターの移転などに取り組み、改善効果を生み出してきた。新会社に移行し企画と開発部門が一体化することで、こうした改善提案も強化する考えだ。