リアルタイムの在庫管理がすべての根幹

物流センター「TBC東京」では、緑色に光る無線ICタグを使って処理すべきかごを指定し、ピッキングミスを防止している
物流センター「TBC東京」では、緑色に光る無線ICタグを使って処理すべきかごを指定し、ピッキングミスを防止している

 CIO(最高情報責任者)に相当する森久保光男・常務取締役開発本部長は「当社のシステムの根幹を支えるのはリアルタイム処理だ。在庫管理の精度には自信を持っており、ここ2年は半期ごとに実施するセンターの棚卸しで誤差がゼロになっている。理論在庫と現物在庫が一致しているから出荷精度も高まるし、正しく納期回答できる」と明かす。ENIFでの受注直後にファクスで納品予定表を届けられるのは、リアルタイムの在庫管理ができている証拠だ。基幹システムが物流センターと営業所のリアルタイム在庫をチェックし、在庫の有無の確認と引き当てを実施。在庫が無い場合は入荷予定を参照し、最後に物流のタイムスケジュールと照らして、全自動で瞬時に納品日時を返信できる。コールセンターに電話があった場合も同様で、リアルタイム在庫を見ながら注文したい医薬品の在庫と納期をその場で回答する。

 営業端末からも基幹システムにアクセスでき、リアルタイム在庫を検索できる。客先では医師や薬剤師を前にして、その場で納期確認しながら販売交渉ができる。加えて、東邦薬品はスマートフォンに音声認識機能を搭載しており、MSが医師や薬剤師から聞き取った医薬品に対する評判や資料請求などの情報を声でスマートフォンに入力できるようにした。内容はテキスト文書に変換され、すぐさま該当する医薬品メーカーのMR(医薬情報担当者)に配信できる仕組みまで用意した。コールセンターでの受注やクレーム処理で培った医薬品業界に特有の言葉に対応した認識率95%以上の音声認識辞書を活用することで、現場のリアルタイム情報を自動伝達できるようにもしている。同時に、MSの日々の情報入力時間を1時間も短縮し、その分は提案型営業に回せるようになった。