全日食チェーンを統括する全日本食品の本社
全日食チェーンを統括する全日本食品の本社
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 小規模の食品スーパー約1800店が加盟するボランタリーチェーンの全日食チェーン(本部は全日本食品、東京都足立区)は2009年末までに、ポイントカード(会員カード)と連動しながらPOS(販売時点情報管理)データを分析できるソフト「リタリックス」を導入する。リタリックスはイスラエル製のPOSデータ分析パッケージで、英テスコや仏カルフールなど世界の大手小売業がこぞって採用している。

 リタリックスの日本での導入事例は、九州地盤のドラッグストアであるドラッグイレブン(福岡県大野城市)に次いで、全日食チェーンが2社目だ。スーパーでは国内初の事例となる。

 この分析ソフトを使えば、POSデータと会員情報を基に細かく条件設定して、顧客をグループ分けできる。全日本食品のCIO(最高情報責任者)に当たる竹嶋孝一・執行役員情報システム本部長は「ほかの分析ソフトも検討したが、顧客別売上高といった単純な分類しかできないものが多かった。より細かな条件設定ができる点を評価して、リタリックスを選択した」と語る。

 各スーパーではポイントカードや会員カードを持参した顧客を対象に、例えば「梅酒用の梅と砂糖を購入した人(梅酒を自作している人)」とか「A社の牛乳を継続して20回購入した人」といった具合に、様々な条件を設定して顧客を簡単に分類できる。そして、条件を満たした顧客がスーパーに買い物に来た時には「20回購入したあなたには、A社の牛乳を○円引きいたします」といった内容のクーポン券をレシートに印刷して渡すといった対応ができる。竹嶋執行役員は「A社の牛乳しか買わない人に、B社の牛乳の割引券を渡しても意味がない。個客に合った割り引きを提供することで効果的な販促を実施する」と説明する。

 全日本食品は本部側のシステムにリタリックスのソフトを導入する計画だ。一方、加盟店側では様々なメーカーのPOSレジが稼働しているが、本部と接続すれば、既存のPOSレジで、そのままクーポンを発券できる。

 将来的にはリタリックスと電子マネーの連動も視野に入れ、全日本食品は技術的な検討を既に進めている。電子マネーの「Edy(エディ)」や「Suica(スイカ)」などの支払いにも対応し、電子マネーを利用する顧客にはその支払いと連動してポイント・クーポンを発行できるようにするためだ。