乳業大手の日本ミルクコミュニティ(メグミルク、東京・新宿区)は、2008年4月から新入社員のOJT(職場内訓練)強化策として社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を1年間運営してきた成果を明らかにした。属人的になりがちなOJTの状況を随時、組織的にフォローできる効果を確認できたとし、2009年4月の新入社員にも引き続き適用することを検討している。
従来の同社のOJTでは、新入社員が小売店訪問や工場実習など、体験したことを紙のレポート(週報・月報)でトレーナーに提出し、所属長(上司)にも回覧していた。だが、コメントが付くのに時間がかかってしまい、新入社員から不安や疑問の声が出たとき、すぐにそれを解消できない問題があった。人事部門には大量の紙が事後に提出されるため、各部署でのOJTの状況が見えにくかった。
そこで今回の仕組みでは、新入社員・トレーナー・所属長の計約200人がSNSに参加した。新入社員が週報や月報をSNSに書き込むと、すぐトレーナー・所属長に電子メールが届くようにした。コメントもSNS上で記入できる。コメントは即時か、遅くとも3日以内に書き込まれるようになった。
こうしたやり取りの記録を即時に見られるので、人事部門にとっても新入社員教育が計画通り進んでいるかどうかを把握しやすくなった。人事部門が用意した1年間の育成目標のガイドラインに沿って、個々の新入社員の「メグミルクに対する理解」「所属部署での業務スキルの習得」などが順調に進んでいるかどうかを見渡せるようになった。
全国各地に散らばる新入社員がSNSで交流でき、同期の結束が高まる効果もあったという。
管理総括部総務人事グループ教育研修チームの喜安(きやす)克敏氏は、「新入社員を対象としたアンケートでは、上司からのコメントが意欲向上につながるという意見が多かった」と話す。新入社員の週報に対して「こういう仕事の進め方をしたほうがいいのではないですか」とアドバイスするだけではなく、「その考え方は重要ですね」と新入社員の行動・報告を承認するコメントも積極的につけることで、新入社員の不安感解消に役立っている。
今回のSNSにはガイアックスの内定者・新入社員育成支援専用SNSツール「エアリーフレッシャーズ」を利用した。