建設機械世界2位のコマツは、世界中の主要な生産拠点で部品表(BOM)の統一を2009年度中にほぼ終了する。部品表とは、部品コードや組み立ての順番などを記載したもので、部品表の仕様を統一することは部品コードの仕様も統一することを意味する。拠点ごとに異なっていた部品表を統一することで、工場間での柔軟な機種の移管や、世界の生産体制同時立ち上げが可能になる。
同社は2006年9月以降、拠点ごとの部品表の統一を進めてきた。IT(情報技術)部門であるe-KOMATSU推進室の山根宏輔室長は「長年の大きな目標だった。従来はどうしても同じ機種を複数の拠点で作ろうとしても時差があったが、世界垂直立ち上げが可能な体制になる」と語る。
部品表統一に先立って、世界中の拠点間でデータをやり取りするネットワークインフラも強化した。2008年10月に世界中の拠点間を結ぶネットワーク全体の運用を米ベライゾン・ビジネスにまとめて委託し、同時に能力を増強した。山根室長は「やり取りできるデータの量は倍になり、ランニングコストは半分にできた」と効果を話す。
コマツは2001年からGPSを通じて稼働状況や燃料の消費量などをリアルタイムで遠隔管理できる「KOMTRAX」を建機に搭載したり、2007年にはグローバルなCMS(キャッシュマネジメントシステム)を構築したりするなど、IT活用に積極的に取り組んできた。今回の部品表統一により、生産体制面でもITで競争優位を築く体制が整いつつある。