センスの良さの原点は音楽活動

 同社は前澤社長がバンド活動の傍ら1998年に立ち上げた。「米国では多数のバンドが互いの音楽CDをライブハウスで売っている。日本でも売ったら面白い」と考えた。ライブハウスでカタログを配ると口コミで顧客が拡大。1万~2万部のカタログを2~3カ月ごとに発行する事業規模に成長した。

スタッフの士気を高めるため、物流センターも格好良さを追求した内装だ(写真中央)。サイトデザインや品ぞろえのセンスに強く共感して入社したスタッフばかりなので、バイヤーのセンスにブレがない(写真左上)
スタッフの士気を高めるため、物流センターも格好良さを追求した内装だ(写真中央)。サイトデザインや品ぞろえのセンスに強く共感して入社したスタッフばかりなので、バイヤーのセンスにブレがない(写真左上)

 2000年1月にはインターネット通販に切り替え、既存顧客が気に入りそうなブランドの衣料品販売を始めて事業拡大を目指した。「音楽好きの人はファッション感度が高い人が多く、こういう曲が好きな人はこんな服を着るというのが分かるから」と前澤社長は話す。取扱店が少なくネット通販も手がけていない高感度ブランドを持つ会社に次々と声をかけ、やがて17の通販サイトで250ブランドを扱うまでになった。

 2004年12月に開設したゾゾタウンは、この17サイトを整理し、1つのサイト内に17のバーチャル店舗を並べたものだ。ここに20~30代に人気のセレクトショップ「ユナイテッドアローズ(UA)」と「ビームス」が加わった。それまでの250ブランドは感度の高さ故に顧客層が限定されるが、UAとビームスが扱う商品はおしゃれだが万人受けしやすいものが多い。2社が自社通販サイトを持っていなかったこともあって、ゾゾタウンの訪問者は一気に増えた。実はUAの参加はゾゾタウンに興味を持った同社の重松理会長がスタートトゥデイに来社したのがきっかけ。「私の感性やスタッフのやる気を評価してくれた」と前澤社長は明かす。

総合ファッションサイト「ZOZORESORT」は、通販サイト「ZOZOTOWN」を改良して誕生。90超のバーチャル店舗を持ち、680ブランドを扱う
総合ファッションサイト「ZOZORESORT」は、通販サイト「ZOZOTOWN」を改良して誕生。90超のバーチャル店舗を持ち、680ブランドを扱う

 これを機にゾゾタウンは、人気のセレクトショップや小粒だが感度の高いブランドと契約しやすくなり、680ブランド・92店まで拡大した。アパレル会社から見たゾゾタウンの魅力の1つは、サイトのデザインにある。著名な建築デザイナーがサイト内のバーチャル店舗の多くをデザインした。これがターゲット層のおしゃれ心をくすぐる。