米P&Gのステファン J.バゴット対外事業開発ディレクター(写真右)と日本でのC&D戦略の責任者である松尾裕志・対外事業開発アソシエート ディレクター(写真左)
米P&Gのスティーブ J.バゴット対外事業開発ディレクター(写真右)と日本でのC&D戦略の責任者であるプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパンの松尾裕志・対外事業開発アソシエート ディレクター(写真左)
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 プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)は、商品開発などに必要な技術を日本企業から調達するための専用ウェブサイトを2009年春に開設する。外部の技術や研究成果を柔軟に取り込んで研究開発効率を向上させる米P&Gの戦略「コネクト・アンド・ディベロップ(C&D)」に沿った施策だ。現在はサイト動作の最終チェックの段階で、遅くとも5月までに開設する計画である。

 米P&Gは2000年ころからC&D戦略を推進。「テクノロジー・アントレプレナー」と呼ばれる社内の要員が中心となり、外部企業のCTO(最高技術責任者)や大学教授、発明家などから技術情報を収集し、新商品の開発などに生かしてきた。「当社の新商品のうち、既に約50%が外部の知恵を取り入れたものとなっている」(米P&Gのスティーブ J.バゴット対外事業開発ディレクター)。この間の同社の業績は好調で、直近5年間を見ると年率約6%の成長を遂げてきた。

 同戦略を加速させるため、2007年には外部の知恵を広範囲に収集するための専用サイトを米国で開設した。このサイトを通じて、2008年には約4000件の情報を集めた。ところが、4000件のうち日本企業から寄せられたものはわずか30~40件にとどまった。P&Gは英語のサイトが敬遠されていると判断し、日本語サイトの開設を決めた。

 バゴットディレクターは「日本は特許の保有数が世界有数であり、革新的なアイデアの宝庫」と期待を寄せる。実際、日本企業の技術を利用して開発した新商品には、ユニ・チャームが技術を供与したほこり取り器の「スウィッファー ダスター」のほか、「プリングルズ」ブランドのスナック菓子、「Oral-B(オーラルビー)」ブランドの電動歯ブラシなどがある。日本語ウェブサイトの開設後はさらに多くの日本企業と協力関係を構築し、商品開発に生かす考えだ。