日立マクセルが間接部門のコスト削減に本格的に取り組んでいる。着手したのは2008年10月からで、まずは文房具などの購入し過ぎを防止するため、事務用品の購入管理にトヨタ生産方式のかんばん方式を応用し導入。第2弾として、2009年1月下旬から間接部門の業務フローの見える化活動を全社規模で始めた。

 同社ではトヨタ流を自社流にアレンジした改善活動を「MPI(マクセル・プロセス・イノベーション)活動」(関連記事)と呼んでいる。製造部門や営業部門では既に2006年から取り組み、成果を出した。例えば大阪事業所では製品在庫量を活動開始以前と比べて60%削減したという。

 今回の間接部門の業務改善も、MPI活動の一環と位置づけており、トヨタ流改善活動を応用して取り組む。業務フローの見える化は、まず各種資料ファイルを、業務の流れに沿って棚に並べる整理整頓から始める。整頓されたファイルを眺めれば、各部門の業務手順をすぐに把握できるようになるからだ。5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動と業務の流れの見える化により「必要性の薄い業務や、個々の業務に要する時間を把握しやすくする」(プロセスイノベーション推進本部の西田雅人MPI推進室長)考えだ。その後、帳票を各部門でやり取りする順番が適切か、書類の印刷・保管が本当に必要かなど、一つひとつ精査していく意向である。

 最終的には、残業時間の短縮などの効果が表れると見込んでいる。数値目標はまだ正式には打ち出していない。「成果を定量化するには、業務フローの正確な把握が前提」(西田MPI推進室長)だからだ。角田義人代表執行役社長は既に、「生産性を2倍に高めよう」と現場に発破をかけている。経営上の目標は2009年度中に策定する方針だ。