カルビーが生産体制の見直しによって、出荷前のポテトチップスが割れるのを減らす改善活動を全国各地の工場で展開している。2009年中に一部の工場で成果が上がり始めた改善策を横展開し、全社規模での品質向上につなげる。歩留まりの向上のほか、顧客満足度を高める効果も期待している。

 カルビーは2008年4月に中期経営計画を策定。同計画のなかで、顧客が買い求める「21世紀型スナック」には外観、香り、食感という3つの要素が必要と定めた。そこでポテトチップスについては、顧客の手元に届く前に割れてしまう割合を減らすことで外観や食感の品質向上を図ることにした。

 先行して取り組んだ生産ラインでは、品質チェックの頻度を従来よりも増やしながら、生産ラインの継ぎ目にある段差をなくし、揚げたポテトチップスにかかる衝撃を抑えるなどの改善活動を実施。2008年秋までに、平均60%の割れを減らすことに成功した。経営効果はまだ正確に計算していないものの、「ポテトチップスの廃棄量が着実に減っており、コスト削減につながっている可能性が高い」(カルビー)としている。

 これを受けて2008年秋以降は、前後の工程である原材料のジャガイモをスライスする工程や、商品の袋詰めの工程、袋詰めした商品の出荷作業でも改善活動に本腰を入れた。原材料の性質に合わせた製法を採用したり、袋詰めの段階の業務プロセスを見直したりして、ポテトチップスの割れによる廃棄ロスを減らす。

 例えばスライス工程であれば、栽培方法や産地などの違いによって変わってくるジャガイモの性質に応じて、スライスする厚さを細かく調整するなどの改善策に取り組んでいる。これまでも収穫時期に応じて厚さを調整していたが、今後は前述のような産地などの違いも加味してよりきめ細かく対応する。既に一部の工場では成果が上がっているが、最も成果が出たやり方をほかの工場へ2009年中に横展開し、全社規模で商品品質の底上げを図る方針である。