星野リゾートが運営する旅館の予約画面。1つの画面内でプランの詳細、部屋の間取り図、料金などを見ながら予約を検討できる
星野リゾートが運営する旅館の予約画面。1つの画面内でプランの詳細、部屋の間取り図、料金などを見ながら予約を検討できる
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 リゾート施設運営の星野リゾート(長野県軽井沢町)は2008年末までに、運営する温泉旅館のウェブサイトの改良を完了した。利用者の利便性向上や予約獲得数の増加を狙ったガイドラインを策定し、これに沿って全国約10カ所の温泉旅館のサイトを順次改良。「いづみ荘」(静岡県伊東市)のサイトの場合、改良半年後にサイト経由の予約数が8割程度増え、予約フォームの離脱率(予約画面で何もせずに去ってしまう利用者の比率)も約45%から30%弱にまで下がった。(関連記事

 星野リゾートは経営不振に陥ったリゾート施設の運営を受託し、サービス内容や業務プロセスなどを抜本的に見直して再建を図る事業を展開している。営業費用の合理化のためネット経由の予約獲得を重視。既に一部の施設では、大手旅行代理店などを通さないネット予約が5割以上を占める。さらに費用を削減するには、旅行ポータルサイトを経由せずに自社サイトで直接予約してもらうことが重要になる。

 そのための改良の柱が2つある。検索エンジンから来た時に最初に表示される「着地ページ」で顧客を引き付けるようにする「LPO(ランディング・ページ・オプティマイゼーション=着地ページ最適化)」と、予約フォームの使い勝手を工夫して離脱率を抑える「EFO(エントリー・フォーム・オプティマイゼーション=入力フォーム最適化)」の2つだ。

 EFOについて、星野リゾートは従来の予約フォームの利用状況を分析したところ、「宿泊プランを一覧できない」「写真の使い方などに問題があって部屋の特徴が伝わりにくい」「空室状況・料金を調べるのに何回ものクリック操作が必要」といった問題点が浮かび上がった。利用者が面倒に感じたり、料金が一目で分からなかったりすることが離脱に直結していた。

 これを踏まえて、星野リゾートは予約管理システムと連動した予約フォーム画面を新たに開発した。指定した日の宿泊プラン・料金・空室状況と、その前後の空き状況などが1~2回のクリック操作で簡単に見られる。ページの切り替え回数を減らす技術「Ajax」を活用し、宿泊プランの詳細や部屋の間取り図などはマウス操作でポップアップする仕組みに変えた。