加盟店の担当者にステッカーを手渡すアメリカン・エキスプレス・インターナショナルの社員
加盟店の担当者にステッカーを手渡すアメリカン・エキスプレス・インターナショナルの社員
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 アメリカン・エキスプレス・インターナショナル日本支社は11月28日、東京・新宿区などのクレジットカード加盟店の店頭に同社ブランドのロゴ付きステッカーを張り出したり、グッズを置いてもらったりするよう依頼して回る「ペイント・マーチャント・ブルー」活動を開催し、本誌に活動の様子を公開した。

 ペイント・マーチャント・ブルーは2003年に開始し、今回が6回目になる。参加者は2007年よりも約50人多い489人と、過去最高を記録した。社員が活動に参加した人数1人につき、会社がNGOに500円寄付するといった社会貢献につながる仕組みを新たに採り入れたこともあって、前向きな参加者が増えたという。

 営業経験者1人以上を含む4~5人でチームを編成し、各チームが割り当てられた担当地区を回る。部署の同僚同士でチームを組むこともあれば、異なる部署の社員と混成チームを結成することもある。記者が同行したのは、個人経営の加盟店が多い神楽坂地区を担当するチーム。チームのメンバーは営業担当者や、クレジットカード会員の旅行手配などを対応するオペレーターなどで、今回が初参加のメンバーも加わっていた。

 加盟店には面会の約束を取り付けておらず、飛び込み営業のスタイルで回る。営業経験の豊富なメンバーは、店内のテーブルの素材など何気ない話題を交えながらペースをつかみ、加盟店のオーナーらとステッカーなどを飾ってもらう交渉を進めていった。一方、普段はオペレーターを務めるメンバーは話術では営業経験者にかなわないが、張りのある声を武器に加盟店に依頼して回った。

 もちろん、加盟店の担当者が好意的に応対してくれるとは限らない。記者が同行したチームでも「責任者が不在なので応じられない」「カードのブランドを表示するものは一切張らないようにしている」などと断る加盟店があった。中にはグッズを受け取りつつも、逆に社員に要望をぶつける加盟店もあった。

 それでも、加盟店の店内やオーナーの雰囲気などに合わせて臨機応変に手渡すグッズを変えるなど、同行したチームは様々な工夫を凝らした。その結果、1時間で4軒の加盟店にブランドのロゴを表示してもらうことに成功した。成果を収めたことで、チームのメンバーは満足そうな表情で健闘をたたえ合った。

社員の業務意欲を高める契機としても生かす

チームの一員が方針を打ち合わせている様子
チームの一員が方針を打ち合わせている様子
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 アメリカン・エキスプレス・インターナショナル日本支社がこのような活動を実施しているのは、カード会員の利用促進を図ることに加え、社員の意欲を高める狙いがある。

 同社はクレジットカード保有者に利用動向のアンケートを毎年実施。その調査で「カード保有者の4人に1人は、店頭でカードが利用できる表示を確認してからカードで買い物をする」という結果を例年得ているという。逆に、本来は加盟店であっても、加盟店であることを示す掲示物を店頭に置いてもらわないと機会損失につながってしまうことになる。同社のロゴが入ったグッズなどを置いてもらう加盟店を増やすことは利用促進になるわけだ。

 さらに、同僚との結束力を高めたり、普段は加盟店と接することがない内勤の担当者が顧客の声を聞いたりする機会と位置付けてもいる。

 活動の終了後に同社が参加者にヒアリングしたところ、「お客様のためになると堂々とアピールしたほうが成功率が高まるなど営業ノウハウをメンバーに教えてもらい勉強になった」など、前向きな感想が多く寄せられたという。

 そこで営業担当者が通常業務で加盟店を訪問してグッズの掲示を依頼するだけでなく、支社長をはじめとする社員有志が一斉に依頼するペイント・マーチャント・ブルー活動を開催しているのだという。同社は今後も継続的に実施していく方針だ。