バイク便のセルートが導入した新配車システム「ODDS(オッズ)」を利用する電話オペレーター。荷物を受け取りにいくまでの時間や荷物を届けに行くまでの時間を従来よりも正確に予測できるようになった
バイク便のセルートが導入した新配車システム「ODDS(オッズ)」を利用する電話オペレーター。荷物を受け取りにいくまでの時間や荷物を届けに行くまでの時間を従来よりも正確に予測できるようになった
[画像のクリックで拡大表示]

 バイク便大手のセルート(東京都新宿区)は、新しい配車システムを開発し、2008年10月までに札幌、名古屋、大阪、神戸、福岡の全拠点で稼働を開始した。システムの名称は「ODDS(オッズ=オンデマンドデリバリューシステムの略)」。まず同年2月に東京本社と横浜営業所で導入し、徐々に導入拠点を拡大していた。

 ODDSは、カーナビゲーションシステムと同様の仕組みで、GPS(全地球測位システム)を活用して荷受け場所および荷届け場所までの最短時間経路を自動的に予測できる。渋滞に巻き込まれにくいバイク便だが、移動時間の算出には経路上の法定速度の変化や道路幅の変化などを加味する。

 各拠点で電話を受けるオペレーターは、顧客からの注文を受けると、パソコン画面上でこのシステムを使って予想移動時間を把握し、原則15分の単位で荷受け・荷届け時刻を約束している。

 ODDS導入前は、各拠点にいる配車スタッフが自身の経験に基づいて、荷受け場所に行くまでの時間や、届け終わる時間を予想し、それをオペレーターが顧客に伝えていた。つまり、配送時間の算出は職人芸のようなもので、ノウハウの共有や伝承が容易ではなかった。

 以前は、どのライダーにどの顧客の荷物を受け取りに行ってもらうかの判断も、配車スタッフが経験に基づき判断していた。ODDS導入によってライダーの割り付けも自動化したことも時間短縮に貢献している。

 ODDSの導入効果はこれだけではない。セルートのサービス料金体系や配車オペレーションは、従来は拠点ごとの独自性が強かった。これがODDS導入を機に、統一しやすくなった。ODDSを使えば、土地勘がないオペレーターでも支障なく顧客の電話に対応できるので応対品質も安定する。また、荷物を配送している途中で顧客から問い合わせがあった際に、配送状況をリアルタイムで伝えることも可能になった。緊急を要するバイク便では、この手の問い合わせが少なくない。

 セルートはこれまで、直営の拠点がある東京、横浜、札幌、名古屋、大阪、神戸、福岡の周辺地域以外は、約120社のバイク便会社と提携して全国をカバーしてきた。今後はこの提携先各社にもODDSの導入を呼びかけ、国内のどこであっても一律の品質のサービスを提供していきたい考えである。顧客にライダーの移動状況をパソコンで見せるサービスの導入も検討している。

■変更履歴
システムの名称を「ODDS(オッズ=オンデマンドデリバリューサービスの略)」としていましたが,「ODDS(オッズ=オンデマンドデリバリューシステムの略)」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/12/5 17:00]