プリンスホテルの女性向けサイト「WiSH」。サイト名も公募で決めた
プリンスホテルの女性向けサイト「WiSH」。サイト名も公募で決めた
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 プリンスホテル(東京・豊島区)が女性顧客の囲い込みに力を入れ、順調に成果を上げている。2007年2月に設立された女性向け会員組織「プリンセスクラブ」は、2年目で会員数2万人突破という当初の目標を2008年9月に達成した。18歳以上を対象に入会費・年会費は無料。入会すれば、ホテル内の女性向けの宿泊プランやスパ、レストランの料金が5%引きになったり、誕生日に一部ホテルでスイートルームが半額になったりする特典がある。

 プリンスホテルグループでは長年、各ホテルで独自の女性向け特典サービスを用意してきた。そのため、女性顧客がレディースプランについて調べる際には、グループ内の各ホテルに問い合わせたり、各ホテルのウェブサイトを見たりする必要があった。プリンセスクラブの設立以降は、グループ共通の会員証を発行し、会員サービスは各ホテルごとではなく専用サイトでまとめて告知している。会員向けメールマガジンを通じても情報を発信している。

 プリンセスクラブを運営するに当たって、グループ内でレディース企画連絡会(通称「WISHプロジェクト」)を組織した。北海道から宮崎県までグループのホテルから女性社員25人が参加している。ほとんどが企画担当者だ。

 2年足らずで2万人の会員を集める原動力となったのは、WISHプロジェクトが企画・編集するウェブサイト「WiSH」だ。2007年11月のオープン以来、宿泊や飲食、美容などのレディースプランを紹介してきた。毎月の特集ページでは花見や花火、ゴルフといったイベントと絡めた宿泊プランなどを提案している。月間PV(ページビュー)は少しずつ上がっており、2008年10月は2万4000を数えた。

 特にPVを引き上げる人気コンテンツは、メンバーがリレー形式でホテル内のレストランやサービスを体験して顧客寄りの視点でつづったり、日々の業務について紹介する「From ホテルウーマン」だという。ほかにも、サイトの独自企画「母娘でキレイ」では単なる女性向けサービスだけでなく母と娘で利用できるサービスを紹介している。

 WiSHプロジェクトの一員である事業企画部の厚地牧子氏は「今回のプロジェクトはホテルの垣根を超えた新しい取り組み。ブログは宣伝色を薄め、各自が楽しく執筆している。メールマガジンなどを通じて女性顧客のアンケートを取り、女性視点の特集やサービス提案を心がけている」と話す。