PR・販促チームの小倉恭子氏(左)と商品企画グループの若代滋氏(右)
PR・販促チームの小倉恭子氏(左)と商品企画グループの若代滋氏(右)
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 HOYAは10月24日、デジタル一眼レフカメラ「ペンタックスK-m」を発売する。これに先立ち、9月22日からターゲットの“ママ”向けのスペシャルサイトを公開している。K-mはデジタル一眼レフとしては入門機クラスに当たる。各社が入門機クラスの市場で女性を意識したマーケティングに取り組んでいるが、ピンク色のK-mスペシャルサイトは特に育児中の女性に絞ってデザインされている。

 PENTAXイメージング・システム事業部がK-mの開発に取り組み始めたのは2007年秋。プロダクトマーケティング部商品企画グループの若代滋氏は「女性のライトユーザーは増えているという実感があった」と語る。独自調査によると、デジカメ一眼レフカメラ購入者における女性の比率は15%に過ぎないが、年々上がっており、また購入者が男性であっても夫婦で共有しているケースも少なくないという。

 女性市場の開拓に熱心なデジタル一眼レフカメラのメーカーにおいて、HOYAは販促面で特色を見せている。女性の手でも握りやすいデザインやボタン類を1カ所に集めた操作性など、開発段階から女性ユーザーを意識したのに加えて、「ママ」という言葉や母子のイラストを販促物に盛り込むといった工夫を凝らしている。狙うは、誕生から小学校入学までの子供を持つ母親層。若代氏は「男性はスペックを重視して購入する。女性向けの販促キャンペーンを打っても男性の顧客を取り逃がすことは無い。幼稚園に通う母親が集まる場所などで展示イベントを開催していく」と話す。

 スペシャルサイトの企画を担当した、プロダクトマーケティング部PR・販促チームの小倉恭子氏は「一眼レフを初めて使う女性が、『難しい』と感じるすべての要素を取り除こうと思った」と語る。そのためにサイトに盛り込んだのが、動画共有サイト「YouTube」を利用した“取り扱い説明動画”だ。わざわざ取扱説明書に詳しく記すまでも無いと考えられがちなステップを映像にしている。「箱から取り出しましょう」や「電池を入れましょう」といった10項目を数十秒ずつ掲載している。

 作例もデジタル一眼レフカメラならではのスポーツなどのダイナミックな写真ではなく、幼児や散歩風景などスナップ写真感覚のものが多い。子供の成長を一眼レフで記録したいという母親には、立派な「作品」ではなく、親近感を覚える写真を見せるほうが効果的だろう。入門機クラスの市場が広がるにつれて、長年男性ユーザーと向き合ってきたカメラメーカーには女性向けマーケティングでの差別化が求められることになりそうだ。

■変更履歴
本文中,名前に誤りがありました。正しくはPR・販促チームの小倉恭子氏です。お詫びして訂正します。文中の表記は修正済みです。 [2008/10/21 10:30]