大和証券グループは、2008年内に大和証券SMBC(東京都千代田区)や大和総研(東京都江東区)などグループ会社9社の入退室システムを統一し、グループ社員や協力会社社員のID情報とIDカードを一元管理できる仕組みを整備する。併せて、社内便や文房具の補充などグループ全体の庶務業務を共通機能会社に集約して効率化することで、派遣社員に支払っていた外注費などの削減を進めている。

 同グループは2007年12月に東京駅近くに、大和証券SMBCなどグループ会社9社が移転し同じビルに入居した。これを受けて各社ばらばらだった入退室システムを統一して、入退室に必要なID情報を一元管理することにした。今回、同拠点に移転しなかった大和総研のシステム運用部門などにも同じ入退室システムを年内に導入する。導入したのは、パナソニックソリューションテクノロジー(東京都港区)の「SecuritySeeker」。ただし大和証券(東京都千代田区)のおよそ130支店についてはIDカードは配布済みで、入退室システムの入れ替え時期は未定である。

 グループ会社の移転と併せて、グループ全体の社内便や文房具の補充などの庶務業務を担う共通機能会社「大和オフィスマネジメント」を2007年に設立した。主に派遣社員が「オフィスコンシェルジュ」として庶務業務を担当している。紛失時のIDカードの臨時発行・再発行手続きを受け付けたり、到着した郵便物を本社ビルの20フロアごとに取り決められた2カ所のスペースに届けたりしている。従来は、各部門の担当者が出向いて郵送物を引き取っていたが、朝夕のエレベータの混雑が問題化していた。オフィスコンシェルジュ担当者が各フロアまで郵便物を届けるようにすることで、「エレベータの昇降頻度を緩和したかった」(大和証券グループ本社の阪上光移転業務統括室長)という。

 大和オフィスマネジメントは庶務業務のほか、文房具の集中購買や什器の管理も担当している。調達した文房具は各フロアごとにストックされ、社員が必要な文房具を持ち出す際にIDカードを認証することで、所属部門に文房具代が自動的に請求される仕組みだ。

 人事異動に伴うネットワーク機器や机などの什器管理は、従来はグループ会社ごとに什器を資産計上していたので、手続きが煩雑だったが、大和オフィスマネジメントの資産として一括管理することで、管理業務も効率化された。

 2008年9月現在、今回の仕組みにより、庶務業務で派遣社員などに支払っていた外注費が移転前に比べて約30%削減し、什器などを備蓄する外部倉庫も75%削減する効果が既に出ているという。グループ内で同様の仕組みを行き渡らせることでさらにコスト削減が進む見通しだ。

■変更履歴
本文中,大和証券グループ本社の阪上光移動業務統括室長とありましたが,正しくは大和証券グループ本社の阪上光移転業務統括室長です。お詫びして訂正します。文中の表記は修正済みです。 [2008/10/03 16:20]