自動化によって手順を短縮
構築した隊員指令システムは,まず隊員が持つ携帯電話に内蔵されるGPS機能が位置情報を取得。パケット通信によって定期的にガードセンターに情報を送信する。ガードセンターは各隊員の現在位置を常に把握する形になる(図1)。
警備サービスの利用者宅でセキュリティ装置が侵入者を検知した場合,ネットワークを経由してガードセンターに警報が送られる。警報を受け取ったガードセンターの監視指令サーバーは,現場位置と各隊員の位置を基に,現場への走行距離を計算。最も速く到達できる隊員を自動的に選ぶ。同時に選んだ隊員の携帯電話あてにSMSを発信する。
SMSは送信側で到達確認が可能だ。「メッセージが不達の場合は自動で再送信したり,別の隊員にメッセージを送るようにシステム化している」(板橋課長代理)。
SMSを受け取った隊員は,現場に駆けつけられる状態の場合に,システムにメッセージを返信する。するとシステムから現場の位置情報を含んだデータが隊員の携帯電話に送信されてくる。これで現場に急行する準備が整うことになる。
隊員が車に乗り込むと,Bluetoothによるデータの送受信機能を備えたカーナビと携帯電話が自動的に接続される。そしてシステムが受け取った目的地のデータをカーナビに自動登録してくれる。「一連の動作を極力自動化し,無駄な時間を省けるようにしている」(板橋課長代理)。
さらに,センター側から隊員の対応状況を把握できる仕組みも整えた。隊員が現場へ移動している最中も,端末は常に位置情報をガードセンターに送信している。「現場への到達予定時刻をガードセンターから,かなりの精度で把握できるようになった」(板橋課長代理)という(図2)。
BREWでGPS情報を使い分ける
今回のシステムの肝となったのが,KDDIの法人向け携帯電話「E03CA」(写真2)である。GPS機能を使った位置情報の取得・送信から,携帯電話とカーナビ間の情報のやり取りまで,E03CA上で動作する専用のBREWアプリケーションによって実現している。
例えば隊員の位置をセンターに送信する仕組みでは,BREWアプリケーションが状況に応じて携帯電話のGPS機能とカーナビのGPS機能を使い分けている(図3)。
通常時は隊員が常に持っている携帯電話のGPS機能を使って,センター側に位置情報を送信する。一方で,隊員が乗車している場合は,カーナビのGPSが捕捉した位置情報をセンター側に送っている。「カーナビのGPS機能の方が,精度の高い位置情報を得られる」(板橋課長代理)からだ。
隊員が車から離れた場合,BREWアプリはBluetooth接続が切断されたことを見て,自動的にカーナビのGPSから携帯電話のGPSの利用へと切り替える。