写真●西武ホールディングスの寺沢航介情報システム部主任(写真中央)、プリンスホテルの古清水全人情報システム部次長(写真右)、豊田幸伸人事部主任(写真左)

 西武鉄道(埼玉県所沢市)やプリンスホテル(東京・豊島区)など、西武グループ各社を傘下に収める西武ホールディングス(西武HD、埼玉県所沢市)はグループ経営の強化と効率化を進めている。その1つが勤怠管理システムの統合だ。

 2007年3月以降、グループの中核企業である西武鉄道やプリンスホテルなどが順次新システムに切り替えており、2008年8月には西武ライオンズ(埼玉県所沢市)が移行した。新システムに移行したグループ各社の従業員数はプリンスホテルの1万4000人を筆頭に、合計約3万人に上る。業種も様々な複数の企業に所属する約3万人分もの出退勤を1つのシステムで管理するケースは珍しい。(関連記事

 西武グループでは従来、グループ各社が個別に勤怠管理をしていた。IT(情報技術)ツールで管理する企業もあれば、従業員が紙に記録した出勤簿を人事担当者が打ち直すといった作業をしている企業もあった。プリンスホテル1社だけでも、「都市型ホテルはタイムカードと自前のITで管理する一方、リゾートホテルでは紙の出勤簿を使っていた」(プリンスホテルの豊田幸伸人事部主任)と統一が取れておらず、管理負荷が増大する一因となっていた。

 従来の体制では管理が行き届いていない職場もあった。例えば、鉄道駅構内の売店などでは管理監督者がその場にいないため、従業員に電話やファクシミリで出退勤時刻を報告させていたが、「報告通りに勤務しているという確証が持てない状態だった」(西武ホールディングスの寺沢航介情報システム部主任)。これらの問題を解消する目的で、勤怠管理システムの刷新と統合を決めた。

 新システムに移行したことにより、紙で勤怠を管理していた企業は年に数回発生していたシステムに入力し直す際のミスを一掃できた。売店での出退勤時刻も、各売店に設置したバーコード・リーダーを通じて申告する仕組みに改めたことで、信頼性が増したという。