みずほ信託銀行は2008年6月,不動産信託などの契約書の管理精度向上を狙って,無線ICタグ・システムを導入した。20万枚の契約書1枚ずつにICタグを張り付け,金庫室からの貸し出し・返却の際に読み取る。それまで紙台帳で管理していた際には,記入漏れや契約書の取り違えなどがあったが,ICタグを使って管理精度を向上させる。

 ICタグには日本信号の「積層ICタグ」(13.56MHz帯に対応)を採用した。通常のICタグは,ICタグ同士をぴったり積み重ねると読み取りにくくなるが,積層ICタグは1mm間隔で積み重ねても読み取れる特徴がある。薄い契約書を束ねて一括して読み取れるため,業務効率が向上する。日本信号がICタグを使う管理システムも含めて納入した。

 一括読み取りにより,半年に1回実施している棚卸し作業も効率化できる。従来300時間かかっていた作業が10時間に短縮するという。金庫内の契約書の置き場は,従来から日付順などで棚に並べて整理しており,システムでは管理しない。