和食やベトナム料理などの飲食店をチェーン展開するフードワークスは,2008年4月から全国約30拠点の店舗に光回線を導入するなど,通信環境を刷新した。店舗の運営に欠かせない本社との連絡手段は,固定電話との間で通話料を定額化できるソフトバンクモバイルの携帯電話サービスに集約。データ通信などはUSENのインターネット接続サービスでまかなう。

 二つの用途別に事業者を使い分けることで効率的に料金割引のメリットを引き出した(図1)。

図1●社内通話とそのほかの通信サービスの二つで事業者を使い分け料金メリットを追求した<br>音楽放送がセットで使えるUSENの業務店舗向けISPサービスと,携帯-固定間の通話料を抑えられるソフトバンクグループのホワイトライン24を組み合わせた。
図1●社内通話とそのほかの通信サービスの二つで事業者を使い分け料金メリットを追求した
音楽放送がセットで使えるUSENの業務店舗向けISPサービスと,携帯-固定間の通話料を抑えられるソフトバンクグループのホワイトライン24を組み合わせた。
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大型商業施設でADSLが速度低下

写真1●フードワークスの古賀隆文・経理部マネージャー
写真1●フードワークスの古賀隆文・経理部マネージャー

 フードワークスの事業は,少ない初期投資で飲食店を立ち上げ,そのノウハウを他の店舗などにも活用するというもの。大手デベロッパーと共同で,採算の悪化した大型商業施設のレストランを「調理設備などはそのまま“居抜き”で活用し,2,3週間で収益性の高い飲食店に模様替えする」(フードワークスの古賀隆文・経理部マネージャー,写真1)といったプロジェクトを展開している。

 短期間で立ち上げた飲食店を早期に軌道に乗せるためには,「月々に発生する通信費を抑制することは重要な課題」(古賀マネージャー)だった。そこで,これまで「比較的どのような場所に店を設置しても電話回線は使える」(同)という理由から採用していたADSLインターネットとマイラインによる割安通話サービスの組み合わせを見直した。最終的には「30店舗トータルで年間300万円以上のコスト削減を目指した」(同)。

 既存のADSLインターネットには,料金と速度の面で不満があった。様々な店舗が入居する大型商業施設では,館内の通話機器などからノイズの影響を受けやすい。スループットが1Mビット/秒程度しか出ない店舗もあった。このため,本社とのファイルのやり取りに店舗マネージャーが数分近くパソコンの前に拘束され,忙しい時間帯などでは業務に支障が出ていた。

 フードワークスが店舗との間でやり取りするデータは,Excel形式の日報ファイルや店舗で配布するパンフレットのPDFファイル,プロモーション資料用の写真など,数Mバイトに及ぶ。これらの送受信にかかる時間を短縮し,その上で料金を抑えるため,NTT東西地域会社のBフレッツ回線を導入することにした。

 それまで使っていた企業向けのADSLインターネットは「モデムのレンタル料金や屋内配線使用料など付加的な固定費が2000円を超し,インターネット接続(ISP)料金と合わせて合計1万円程度」。これに対してBフレッツの場合,ひかり電話対応ルーターはレンタル料金が無料となる。「経理上もISPと回線の通信費だけで整理でき,月額7000円程度に抑えられる」(古賀マネージャー)という点を評価した。