国立国会図書館(東京・千代田区)は2009年度中にも新たな情報検索サービスを公開する。同図書館には全国各所にある図書館の司書から、利用者に依頼された資料を探すための問い合わせが年間6万件以上ある。問い合わせ情報をデータベース化して利用者の要望を分析し、利用者自身で欲しい情報にたどりつけるように情報の提供方法を見直す。利用者の利便性を向上させるとともに、図書館の担当者の業務を効率化したい考えだ。

 国会図書館には現在、8つのデータベースがある。書籍の要約と登場する人物名などを整理した「書誌データベース」をはじめ、データベースごとに異なる分類で情報が蓄積されている。加えて国会議事録検索システムや児童書総合目録など、約60種類の外部データベースの情報も閲覧できる。だが、これらのデータベースを横断して検索できなかったため、どのような情報がどこに収められているのかを理解している利用者でなければ、情報を引き出すのが難しかった。

 しかも、一般利用者には、館内にある8つのデータベースのうち4つしか公開していなかった。主題情報部参考企画課の兼松芳之課長補佐は「データベースごとの特徴を知っている人にしか、調べられないような仕組みだった」と振り返る。

 新サービスは利用者が欲しい情報にたどりつけるように支援機能を強化する。まず、国会図書館内にある8つのデータベースを横断して検索できる仕組みを導入。さらに、問い合わせが多い内容やこれから増えるであろうキーワードを国会図書館があらかじめ予測し、資料の所在を一覧にまとめることにした。例えば、冬にインフルエンザが流行りだすと、抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」など関連するキーワードの書籍情報をピックアップしておくといった具合だ。同館がガイド役となって、膨大な資料から必要だと思われる情報を絞り込む。すでに科学技術分野を中心に約1000件のキーワードに関して情報をまとめた。

 こうした取り組みにより重複した問い合わせを減らしたい考え。新システムを活用することで、難易度の高い問い合わせの早期解決に注力する。