オリンパスのデジタルカメラ事業を担うオリンパス イメージングは、期間短縮を図るためのプロジェクト管理手法であるCCPM(クリティカルチェーン・プロジェクト・マネジメント)を設計開発部門に導入した。2007年6月にレンズを設計する部門に導入したのを皮切りに、来年度にかけてほかの部門へ横展開していく計画だ。

 CCPMとは、TOC(制約条件の理論)の創始者であるエリヤフ・ゴールドラット博士が考案したプロジェクト管理手法。工程別の安全時間を抜いたタイトな計画を作り、遅延リスクに対しては、プロジェクト全体で合算した安全時間を「バッファー」として管理するのが特徴である。進ちょくが予定通りであれば「青」、遅れ気味になれば「黄」といったように色別にプロジェクト状況を表示する。進ちょく状況を見える化することで、あらかじめ決めた日程表を守ろうとする意識を現場に高めさせることが狙いだ。

 デジタルカメラは春や秋に複数の新製品が同時投入される。そのため、開発部門では各担当者の忙しさのピークが重なってしまう課題を抱えている。この制約下でも計画通り開発を終えられるようにCCPMを導入した。

 CCPMに取り組んだことで2つの効果が見えてきた。1つ目は課題を事前に洗い出せるようになったことだ。対象プロジェクトでは、どの工程でバッファーを使い込んでしまったのかなど進ちょく状況を詳細に記録している。また、遅れを取り戻すため、どのように対応したのかといった情報も記録に残される。同様の部品を開発する際には、事前に課題となる点が分かるので日程表作成の精度が向上した。開発本部の畠中晃課長代理は「これまでも開発が終わると課題点を報告書としてまとめていたが、より細かい情報を基に議論ができるようになった」と話す。

 もう1つが毎週進ちょくを確認する場を設けた結果、少しでも遅れが出ると分かるようになったことである。会議の場で、人員が足りないならば補充を検討するといった対策を素早く打てる。「メンバー同士が自発的に助け合うようになってきた」と畠中課長代理は効果を説明する。レンズの設計に導入して効果があったことから、来年度までにレンズ以外の部品の設計開発にも適用させる考えだ。