改善情報を自由に発信できる「カイゼンプロモーションシステム」の画面例
改善情報を自由に発信できる「カイゼンプロモーションシステム」の画面例
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 医薬品メーカーのファイザー(東京都渋谷区)は2008年7月、業務改善のアイデアを全社員で共有するための「カイゼンプロモーションシステム」を本格稼働させた。社員は誰でもウェブブラウザを使ったこのシステムに改善前の問題点と改善内容、その効果を書き込んで、全社に情報発信できる。2008年4月から試験運用を開始しており、7月から本格運用に切り替えた。

 8月中旬時点で既に250件の「カイゼン報告」があり、社長も自ら率先して改善例を書き込んでいる。その影響もあり、既に90%以上の社員が内容を見ている状況だという。

 この取り組みのユニークな点は、働きがいのある職場の実現を目指す専門部署「GPTW(グレート・プレイス・トゥ・ワーク)推進室」が主管しているということだ。2008年1月に発足したGPTW推進室には4人の専任担当者がいる。GPTWに対するファイザーの力の入れ具合が感じられる。

 この部署の目的は「コアバリューの浸透」「社員のエンゲージメント(組織に対する忠誠心に近い概念)向上」「ワークライフバランス」「ダイバーシティー(多様性)推進」「子育て支援」「カイゼン文化の醸成」の6つだ。2008年前半は手始めに「エンゲージメントとカイゼンの2つに焦点を当てている」(松本悦子・GPTW推進室長)という。カイゼンプロモーションシステムを用意したのは、この2つの活動の一環というわけだ。

 システムに書き込む内容に大きな制約はない。仕事や職場の無駄を省く話題でもいいし、ちょっとした仕事の工夫でも構わない。例えば、女性社員が上着にピンの穴を開けずに名札を留められるアイデアなどが既に書き込まれている。それに対し、「とても役に立った」という返信も書き込まれている。

 働きやすい職場のためのアイデアを、カイゼンという切り口で誰でも自由に言い合える環境を作るのがファイザーの当面の目標になる。そうした小さな積み重ねが「社員同士で助け合える職場の文化を作り上げる」(松本室長)と、ファイザーは考えている。