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日産自動車
金型製作の職人技をナレッジ化、修正回数を5回から3回に

西 雄大=日経情報ストラテジー 2008/08/28 日経情報ストラテジー
出典:日経情報ストラテジー 2008年6月号pp.130-133
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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日産自動車は世界戦略車に力を入れている。いち早く海外で生産を立ち上げる鍵を握るのが車体をプレスする金型製作のノウハウ共有だ。2006年に「圧型ナレッジマネジメントシステム」を稼働させた。金型が完成するまでの修正回数が平均5回から2~3回に減る成果が出ている。

 団塊世代の大量退職が2010年ごろまで続くといわれている。いわゆる「2007年問題」は、ベテラン技能者のノウハウをいかに継承すべきかを考える発端となった。だが、ものづくりのノウハウは技術者の勘やコツといった暗黙知が大半を占めるため伝承が難しいのが現状だ。

 とりわけ伝承の課題になるのが、現場の細かい工夫を記録し共有することだ。たとえ記録があったとしても、一般解として当事者以外が参考にできる対策が明記されていない限り、なかなか生かされにくい。すなわち、過去の不具合対策を検証して次の製品開発の品質向上に役立てるPDCA(計画・実行・検証・見直し)サイクルを回しきれない課題も同時に浮き彫りになっている。

 このサイクルをうまく回せているのが、日産自動車で車体をプレスするための金型を製作する部門だ。金型は、プレス機の上下に鉄板を挟み車体の形を作り上げる重要なもの。金型の製作期間を短くできれば、開発期間短縮に大きく貢献できる。鉄板の余りをうまく活用しつつデザイン通りの部位を4回の工程を経て作り出している。同社ではこの工程で使う金型を「圧型」と呼ぶ。

金型を完成させるには職人技が必要

 金型は、職人が何度も修正を重ねてようやく完成に至る、一種の“芸術品”である。金型を製作するには、まず設計担当者などが製図し、設計図面を基にNC (数値制御)工作機械にどのように動くかを指示するデータを作成して、削り出しを行う。ただし、工作機械が削り出しただけの金型は、まだ完成品と呼べない。それだけだとプレス機で鉄板を加工しても、しわやたるみが発生するのが普通だ。そこで、ベテランの金型製作担当者の職人技の出番となる。金型に余肉をつける、または、形状を微妙に変えるなどの修正を勘と経験に基づいて実施する。プレス技術部の久恒智彦部長によれば、ベテランの金型製作担当者でも「一発で直せるのは全体の7割」という。不具合を確認してまた直し、修正を重ねて金型を完成させる。

 このように金型を完成させる過程でどんな対策をしたのかが設計担当者には伝わらず、金型を完成させるまでの期間がなかなか短縮できずにいた。

金型のノウハウ共有不足が調査で露呈

 同社が今回のナレッジマネジメントに取り組み始めたのは、技能伝承の重要性が叫ばれ始めた2003年10月である。当時の日産自動車では、金型を最初に作る際に基準値以内に入ったかどうかの合格率の伸び悩みが課題だった。当時、開発期間(デザイン決定から生産開始)を20.75カ月から10.5カ月に短縮することを目指した生産手法「V3P」の確立に取り組んでいた最中でもあった。

 このシステムの開発に取り組んだ第二圧型技術課の濱崎俊彰氏らメンバーは、まず削り出された直後の金型の合格率が伸び悩んでいる根本的な原因を探った。その結果、不具合のうち半数にあたる51%が複数の車種で起こっていることが分かった。すなわち、不具合の対策事例が開発車種間で共有されていなかった。

 さらに、不具合が発生したもののうち62%は、報告書に記載どおりの対策を設計段階で実施したものの効果が無かったものであることが分かった。従来から、不具合が発生するたび、解析担当者がデータ分析などを行って報告書を作り対策を記載していたが、実際に金型を製作した現場技術者がどう対策したかまで調べきれていなかった。

 濱崎氏らは、不具合発生の調査結果を踏まえて、金型の修正履歴などをシステムに登録して、上流工程である設計担当者と情報共有する仕組みを運用する必要があると結論づけた。システム開発の検討を2004年2月から開始した。

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