写真●千代田紀行・情報システム部部長補佐(写真左)、尾崎昭宗・執行役員経営戦略室長兼情報システム部長(同右から2番目)ら、データ・ウエアハウスの導入・活用に携わったコカ・コーラ セントラル ジャパンのメンバー

 神奈川、静岡、愛知など6県を事業エリアとするコカ・コーラ セントラル ジャパン(CCCJ)は、自動販売機への商品の補充頻度を最適化する施策を2008年秋にも開始する。自販機ごとに適切な補充頻度を定め、欠品の恐れがない自販機に補充に出向くといった無駄を防ぐ。補充にかかる人件費や運送費などを3%削減し、自販機1台ごとの採算性を高める(関連記事)。

 2007年に本格運用したデータ・ウエアハウス(DWH)を活用して、個別の自販機の日次売り上げデータや損益状況を確認する。「売り上げが好調の自販機に頻繁に補充に出向く一方、それほどでもない自販機は頻度を下げる」「売れ行きの良い曜日の前後に訪問する」といった具合に訪問計画を策定する。この計画により、営業効率が高まるほか、営業担当者によってそれぞれの自販機の訪問頻度や訪問ルートがばらつく事態も防げるという。

 同社の営業部門は既に各地の自販機への訪問頻度を定めた実行計画を立案した。8月から試験的に実行して効果を検証し、精度を高めてから秋以降に本格的に展開する方針だ。

 CCCJがこうした施策に乗り出すのは、「利益が見込める場所の大半に自販機の設置を済ませた」(尾崎昭宗・執行役員経営戦略室長兼情報システム部長)と認識しているため。新たな自販機の設置場所を探し回るよりも、設置済みの自販機の利益率を高めることに力を入れるべきだと判断した。

 ただし、従来はこのような経営判断を施策に落とし込みにくい状況だったという。2007年以前に利用していた旧来のDWHでは、個々の自販機にかかる人件費や運送費を把握できず、粗利ベースでしか損益を管理できなかった。新しいDWHを導入し、個別の自販機の採算性を「見える化」して、初めて損益管理を徹底できるようになった。

 それぞれの自販機の日次の損益状況が見えることで、「勘や経験に頼ってきた現場の営業担当者の納得も得られやすくなる」(千代田紀行・情報システム部部長補佐)。現場も円滑に施策を受け入れる見込みだという。