リクルート・メディアテクノロジーラボの長友肇ゼネラルマネジャー
リクルート・メディアテクノロジーラボの長友肇ゼネラルマネジャー

 リクルート社内の研究開発組織である「メディアテクノロジーラボ(MTL)」は2008年6月に、無料の動画広告作成ツール「コマーシャライザー」を開発・公開した。7月10日までに4000以上の動画広告が作成された。

 「旅行記風」「映画予告風」など動画の雰囲気を選択し、写真10枚をアップロードしてキャッチコピーを入力するだけで、BGM付きの動画広告(Adobe Flash形式)が自動生成される。キャッチコピーが思い浮かばない時は、「ゴーストライターにたのむ」ボタンで典型的な文言を自動入力できる。

 MTLの長友肇ゼネラルマネジャーは、「ネットオークションの出品者や、小規模なレストラン、旅館など、写真はあっても動画を制作・編集する手間をかけられない人が、動画広告を発信しやすくすることを狙った」と話す。

コマーシャライザーを使って『日経情報ストラテジー』の動画広告を自動生成
コマーシャライザーを使って『日経情報ストラテジー』の動画広告を自動生成
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 現状は、ウェブブラウザー上で見られる動画のみを自動生成できるが、将来的には、街頭や店頭、列車のドア上などにある電光掲示板(デジタルサイネージ)での配信を念頭に置く。「現状の列車内のデジタルサイネージは決まった広告しか表示できず、中づり広告と変わらない。TPO(時間・場所・状況)に応じた広告を流せるようにすればもっと広告効果が増すはず」(長友ゼネラルマネジャー)。動画広告のバリエーションを増やすうえで、コマーシャライザーのような簡易なツールが役立つと考えている。

 今回のCM作成ツールを同社の事業部門がどう活用するかはまだ決定していないが、いずれ広告営業の武器とできる可能性は高い。例えば同社の紙の情報誌の広告クライアントに対し、このツールを用意して提案すれば、ネットやデジタルサイネージなどへも手軽にクロスメディアで出稿できることをアピールできる。

 MTLはリクルートが2007年に社内の研究開発担当者約30人を集約して設立した研究開発部門。インターネットメディアやゲーム機・ネット家電の分野で、事業化前の段階の研究開発に取り組んでいる。