ヤマトホールディングスの金融部門であるヤマトフィナンシャルは、2008年8月1日からインターネット通販事業者向けの決済サービス「クロネコwebコレクト」を開始する。新サービスをテコに、2010年度には1万2000社の事業者を取り込み、30億円の手数料収入を目指す。

 これまでヤマトはネットやモバイル通販向けにはセールスドライバーが軒先で代引き決済するか、商品到着後に決済するサービスしか提供していなかった。今回でネット通販でも事前決済に対応できるようになる。ネット通販の決済サービスは、同業の佐川フィナンシャル(東京都中央区)をはじめ、楽天やヤフーといったモール事業者など約20社との競合になるが、(1)多様な決済手段をカバーすること、(2)支払期日の短縮、(3)手数料の安さなどで優位性を打ち出す考えだ。

 (1)の支払い方法は、クレジットカード払いのほか、電子マネー、ネット銀行、コンビニ払いをカバーする。「ネット通販向けでこれだけの手段に対応する決済サービスは初めて。決済の“デパート”だ」(ヤマトフィナンシャル決済ソリューション部の石王丸竜一部長)

 (2)の支払い期日の短縮では、最短で決済の5日後に通販事業者に支払う。通常カード決済するとカード会社が代金を回収し通販事業者へ支払われるまで30~60日かかるが、新サービスでは一時的にヤマトが立て替え払いをする。「新サービスで狙うのは年商100億円以下の小売り事業者。立て替え払いにより荷主の資金繰り向上に貢献する。代金回収トラブルのあった消費者をきちんと管理したり、問題があれば配送を止めたりなどの措置を駆使すれば、立て替え払いはさほどのリスクにならない」(同社の石王丸部長)。同業他社で一部の優良顧客に限定して立て替え払いをする決済事業者はあるものの、標準で立て替えを提供するのは、業界初という。(3)の手数料は、導入初期費用が0円で、クレジットカードの決済手数料は3.9%からと低く抑えた。

 2008年10月には携帯電話版のサービスも展開する予定だ。「条件によっては配送業者がヤマト以外の場合でも決済サービスを通販事業者に提供する考えもある」(同社の石王丸部長)という。