キッザニアのパビリオン
キッザニアのパビリオン
三菱自動車工業のショールームでは子供たちが接客を学ぶ
(写真撮影:いずもと けい)

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 自動車ディーラーの制服に身を包み、神妙な面持ちでインストラクターから接客方法を学ぶ。ハンバーガーショップの店員に扮して、ハンバーガーの作り方を習う――。

 2006年10月、東京・江東区のショッピングセンター「アーバンドックららぽーと豊洲」にオープンした「キッザニア東京」は、2歳から15歳までの子供が仮想的に職業体験できるエデュテインメント(エデュケーションとエンターテインメントを複合した造語)施設として人気を博している。週末や学校休業期間の予約は何カ月も先までうまり、平日も校外学習のプログラムで訪れる子供たちが列を成す。

 キッザニア東京を運営するキッズシティージャパン(東京・千代田区)が設立されたのは開業に2年先立つ2004年9月のこと。現社長の住谷栄之資氏が立ち上げたベンチャー企業だ。外食企業WDIの社長として「ハードロックカフェ」など米国の著名レストランを日本で展開してきた住谷氏は60歳を前に退職し、メキシコで運営されていたキッザニアに目を付けて日本で運営するライセンス契約を結んだ。「仕事の体験は子供の成長に良い影響を与える。これは今の日本に絶対必要な施設だ」という思いに突き動かされてのことだったという。

「キッザニア」を立ち上げたキッズシティージャパン社長の住谷栄之資氏
「キッザニア」を立ち上げたキッズシティージャパン社長の住谷栄之資氏
(写真撮影:皆木 優子)

 とはいえ、当初は身一つの起業と言っていい状況だった。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが京成電鉄や三井不動産という大手企業の出資を受けたように、大企業のバックアップが約束されていたわけではない。それでも住谷氏が起業に踏み切ったのは「友達が後押しし、出資やスポンサーシップで協力してくれたから」だった。キッザニアの「父」である住谷氏を支えた「友達」とはいかなる人々だったのか。