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事例データベース

ジュピターショップチャンネル
テレビ通販で年率50%の急成長、ライブ感とリピート優遇でファン獲得

川又 英紀=日経情報ストラテジー 2008/07/10 日経情報ストラテジー
出典:日経情報ストラテジー 2008年4月号pp.156-159
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

24時間365日連続生放送のテレビ通販番組を手掛けるジュピターショップチャンネル(東京・中央)の業績が好調だ。「物が売れない時代に、過去数年は前年度比で30~50%の大幅な売り上げ増を達成した。生放送の強みと、スピーディーな受注体制でリピート客の心をつかんでいる。

 2007年11月1日。開局11周年を迎えたこの日、CS放送を中心に生放送のテレビ通販番組を運営するジュピターショップチャンネルは、過去最高になる1日10億円を超える商品販売を達成した。この日にコールセンターにかかってきた電話件数は、やはり過去最高である18万件に達し、翌日の商品出荷数も約10万個と新記録になった。記念番組にふさわしいお得な商品を取りそろえたとはいえ、この10年で生放送のテレビ通販という新たな市場の開拓に成功し、年商約1000億円のテレビ通販最大手に登り詰めた勢いを象徴する1日だった。

●売上高の推移。近年の成長が著しい
●売上高の推移。近年の成長が著しい

 同社の販売力をもってすれば、1つの商品を1日で1億円ほど売り上げるのは珍しいことではない。過去にはたった1日でダイソン(東京・千代田)の高級掃除機を合計6億円分も販売したり、北海道から取り寄せた黄金松前漬を1日で4万2000個以上も販売したりした。1996年の放送開始以来、2006年度までずっと増収を続け、2000年度に単年度黒字に転じてからは6期連続で増益も続く。既に累積損失も一掃した。特に2005~2006年度の成長はすさまじく、小売業界全体では販売不振が叫ばれるなかで、ショップチャンネルは前年度比で30~50%の売り上げ増を達成。2006年度は売上高が997億円、経常利益が209億円だ。

単品を1日で売り切る“ライブ感”

 毎晩、午前0時からの1~2時間が同社にとっての「ゴールデンタイム」だ。24時間限定で用意するその日のお買い得商品「ショップEスターEバリュー」を取り上げる番組を放送する。同社の顧客の90%近くを占めるのは女性客だけに、衣料品や化粧品、日用品、健康食品などが連日、1日限りの割引価格で紹介される。この時間帯になると、放送中から固定ファンを中心に注文の電話が殺到する。

 もっとも、単に売れ筋の商品を仕入れて番組で紹介するだけでは、このように爆発的に売り切る力は備わらなかっただろう。同社の番組作りの特徴を表すキーワードを1つ選ぶとすれば、まずは“ライブ感”が挙げられる。これが眠気を誘うはずの深夜帯なのに視聴者をワクワクさせる鍵だ。放送開始直後、注文が入り始めると、番組を進行する「キャスト」と呼ばれる司会者の声が一段とヒートアップする。生放送中のスタジオでは商品の実演が繰り返され、しかも番組途中には注文の電話をかけてきた顧客とキャストとの生の電話のやり取りまで加わって、熱気をどんどん注入していく。

 さらに番組を盛り上げるのがテレビ画面の下に表示されている商品の「受注件数」だ。生放送中に商品の販売個数がリアルタイムで増えていき、人気商品ともなると、カウンターは10分もたたないうちに数千個まで上昇する。今この瞬間に「めちゃくちゃ売れている」ライブ感が顧客を興奮させ、「今すぐ注文しないと売り切れてしまう」という焦りが購買意欲をかき立てる。

 同社ならではの受注システムが、こうしたライブ感を裏で支えている。もしコールセンターが通話中ならば、顧客の熱気はたちまち冷めてしまう。何分も待たされてやっと電話がつながったと思ったら人気商品や希望の色やサイズは売り切れだったりすれば、顧客はがっかりしてしまうだろう。

2006年稼働の320席ある東京のコールセンター
2006年稼働の320席ある東京のコールセンター

 受注経路はコールセンターのオペレーターのほか、IVR(自動音声応答)やインターネット、携帯電話など様々だ。マルチチャネルで数千件もの受注を瞬時にこなしながらも、受注件数や電話の待機件数、そして残りの在庫数をリアルタイムに集計して、生放送中の番組スタジオでスタッフが常に確認している。荒井貴弘・執行役員カスタマーケアゼネラルマネージャーは「どんなに便利な受注システムを作っても、顧客に『今の状況』が正しく伝わらなければ有効に使ってもらえない。それだけに生放送中のキャストに話してもらう内容の指示や変更が売れ行きを左右する」と、秘けつを明かす。

 刻一刻と減る在庫数に応じてキャストは視聴者に今の状況を伝え、購入の意思決定を促進させる。

●生放送のテレビ通販番組を新しいコールセンターやIVR、物流センターが支える
●生放送のテレビ通販番組を新しいコールセンターやIVR、物流センターが支える

すぐに在庫を確保できるシステムで躍進

 もう1つ、同社の受注体制の大事なキーワードが、注文のストレスを感じさせないことでファンを育てる“お得意様優遇”だ。リピート客を大切にする仕組みを作り、「電話がつながりにくい」と「希望商品が売り切れてしまった」の2大ストレスを解消した。これを支える仕組みが、「タッチでSHOP(ショップ)」という受注システムだ。これは、「発信者番号通知(コールID)」を利用して注文の電話をかけた時に、コールセンターのオペレーターを介さずに IVRのガイダンスに従って電話のプッシュボタン操作だけで注文できるもの。顧客からのコールIDと顧客データベース、そして在庫管理システムを連携させたことで、リピート客からの注文に対して瞬時に在庫を引き当てられるようになった。

 ほかにもオペレーターを介さない受注経路としては、ホームページからの注文「ネットでSHOP」や携帯電話からの注文「ケータイでSHOP」もあるが、過去2年のリピート客の獲得と常連化に最も貢献したのは、この「タッチでSHOP」だ。今では注文の電話の半数以上をIVRで処理するほどである。生放送の番組内ではキャストが顧客に対し、電話をかける際に電話番号の頭に「186」を付けてダイヤルする発信者番号通知の利用を促す。こうすることで、ショップチャンネルは着信と同時に顧客の電話番号を特定でき、その番号と顧客データベースを瞬時に付き合わせて、過去に注文があった顧客の電話番号と一致するかを確認している。

 リピート客の電話番号と分かれば、顧客にはまず最初に注文したい商品番号を入力してもらい、その段階で顧客の電話番号と在庫管理システムをひもづけて該当商品の在庫を引き当ててしまう。顧客情報の登録・変更といった時間がかかる面倒な手続きは、在庫を押さえた後にゆっくりと実行してもらえばいい。

 ただし、機械操作が苦手な顧客や、初めてショップチャンネルを利用する顧客などは、あえて時間がかかるオペレーターとの通話を選ぶだろう。どちらを選ぶかは顧客の自由だ。そんな場合でも着信時に顧客を識別できるコールIDは、オペレーターの接客レベルを向上させるのにも役立っている。

 着信すると直ちにコールIDと顧客データベースを突き合わせ、過去に登録がない新規顧客かどうかを判定。もし新規顧客だと分かれば、その電話はすべてベテランのオペレーターにつなげる。初めてショップチャンネルで買い物する顧客は手続きや質問が多く、オペレーターの対応時間がリピート客よりも約4倍長くなる傾向があるからだ。もしそうした新規顧客に新人オペレーターを割り当ててしまうと、ますます対応時間が長くなるし、手間取ってしまえば第一印象が悪い。だから新規顧客はベテランが一手に引き受ける。

●顧客がコールIDを通知すれば、在庫を素早く確保できる
●顧客がコールIDを通知すれば、在庫を素早く確保できる
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 こうした受注体制の原型が整ったのは2004年9月のことだ。この時、同社は生放送の時間枠を一部の時間帯から24時間365日に拡張した。この英断は、国内のテレビ通販業界を完全生放送時代へとけん引した。このタイミングでショップチャンネルは顧客管理システムや在庫管理システム、IVRを含めた電話ネットワークを刷新していた。

 その後、2006年3月には都内に320席を構える新しいコールセンターを開設し、東京と大阪のコールセンターに合計で約450席分のオペレーターを確保した。オペレーターの在籍人数は約660人に上る。ほかに「ホームエージェント」と呼ばれる在宅オペレーターも約50人抱え、最大で500人のオペレーター体制を敷いている。注文全体の90%はリピート客が占めているという。

運送業者と共同で誤配送撲滅に取り組む

 受注システムを強化しただけでは、テレビ通販は成り立たない。滞りなく注文から4日前後で顧客の自宅まで商品を届ける体制を維持できなければならないからだ。2004年以来の急成長の過程で課題として浮上したのは誤配送件数の増加だった。誤配送の発生率はここ数年変化していないが、年間1200万個を超える物流センターからの出荷数量の増加に比例して、誤配送件数は増え続けていた。そこで2007年4月に完成した新しい物流センターでは、注文があった商品を棚から選び間違えることを防止する「ハイテクピッキングカート」を導入した。

ほぼすべての商品を出荷する千葉県習志野市の新しい物流センター。左下の台車は「ハイテクピッキングカート」
ほぼすべての商品を出荷する千葉県習志野市の新しい物流センター。左下の台車は「ハイテクピッキングカート」

 誤配送のもう1つの大きな要因が運送業者の配達間違いだった。そこでセンターからの配達を委託している佐川急便と共同で撲滅プロジェクトを進めた。センター所長が佐川急便のトラックに同乗し、配送現場に同行して配達を間違う原因を探った。すると理由の1つは、箱に張る顧客ラベルの見えにくさだと分かった。印字が小さく、夜間配送では文字が読みにくい。トラックの中にショップチャンネルの箱が複数あると、ドライバーが別の箱を渡してしまうミスが起きていた。

 そこでラベルのデザインを見直し、印字を大きくした。こうした改善を経て2007年4月以降は、誤配送件数が前年度平均の5分の1に減った。

 現在の物流体制は、2007年の2倍の物量まで対応できる。年率30~50%という勢いで伸びる売上高に見合う受注システムと物流システムが完成した。

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