セブン-イレブンを支援しているJMのコールセンターにあるフライヤーの実機。店舗からの電話問い合わせに実機を見ながら対応できる(東京・葛飾区の日立ブレーン内)
セブン-イレブンを支援しているJMのコールセンターにあるフライヤーの実機。店舗からの電話問い合わせに実機を見ながら対応できる(東京・葛飾区の日立ブレーン内)
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 セブン-イレブン・ジャパンは揚げたてのから揚げやコロッケなどを店内で調理・販売するための「フライヤー」(揚げ物用調理器)の導入を急ピッチで進めている。2007年6月からテスト導入を始め、10月に本格展開を開始。2008年8月までに全店の3分の2に当たる約8000店にまで拡大する予定だ。5月下旬時点で既に4000店弱の店舗で導入を完了した。

 フライヤーはほかのコンビニエンスストアや食品スーパーなどでは既に導入している店舗が少なくない。セブンはこれまで店内調理品の販売に積極的ではなかったが、方針を転換した。一斉導入工事はビルや店舗の小口修繕サービスを運営する前田建設工業子会社のJM(東京・千代田、ブランド名は「なおしや又兵衛」)と共同で進めている。JMは以前から、セブンの店舗におけるトイレ詰まりや、ドア故障といった日常的なトラブルに対する修繕を請け負ってきた(関連記事日経情報ストラテジー7月号『イノベーション企業 JM』も参照)。

 「これほど短期間に同じ工事を一斉に進めたケースはあまりない。JMはセブンの店舗のことを一番良く知っている」(セブン-イレブン・ジャパンの笠田弘・建築設備本部建設部総括マネジャー)ことから、作業を依頼した。JMは全国の工務店など約280社を組織化。買収に伴うチェーン店の一斉改装工事などの実績があり、同時工事のノウハウを持つ。

同時一斉工事の進ちょく管理にITを活用

セブン-イレブン・ジャパン建築設備本部建設部の笠田弘・総括マネジャー
セブン-イレブン・ジャパン建築設備本部建設部の笠田弘・総括マネジャー

 フライヤー導入工事は1日で終わるが、調理機器の搬入から排気、電気系統など多種の工事が必要になる。短期間に8000店という膨大な既存店に導入するため、毎日数十店舗で同時に工事を進めている。「工事の種類・店舗数が多いため、紙と電話での連絡では間に合わない。きめ細やかな進ちょく管理や施工作業者への情報提供などの仕組みが不可欠だ」(笠田総括マネジャー)。こうした情報共有のためにJMが開発した情報システム「Mata@bee(マタベエ)システム」を使っている。

 今回の一斉工事でも、セブン店舗やほかの顧客企業の修繕の工程管理に使うシステムをそのまま活用している。施工指示書などを全国の工務店や店舗がネット上で参照。実際に施工する時には、カメラ付き携帯電話などを使って施工状況を撮影して入力し、関係者が共有している。

 フライヤーを設置済みの店舗で、操作ミスや故障などが発生した場合には、店舗スタッフがJMのコールセンターに電話をかける。オペレーターは「Mata@bee」に登録された施工状況などの画面を参照しながら、店舗スタッフに応急対応の方法を教えたり、修理を受け付けたりできる体制も整備した。