今回導入した迷子防止用アラーム。当面、横浜店で試験的に活用する
今回導入した迷子防止用アラーム。当面、横浜店で試験的に活用する
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 高島屋は2008年3月から、店内の迷子防止の新サービスを2つ導入した。今回導入した新サービスは「迷子シール」と「離れるとアラーム」。

 同社の迷子シールは、迷子の個人情報保護に配慮したことが特徴。既に百貨店業界や各種リゾート施設などで普及している従来の迷子シールは、保護者の名前・連絡先を記入して子供の服に張るのが一般的だった。今回のサービスは、各店舗のカウンターで事前に親の氏名や連絡先などの情報を登録し、通し番号だけを振ったシールを子供の衣服などに張るというもの。迷子になった場合、同社のカウンターがシールの番号を照合して親に連絡する。

 もう1つの新サービス「離れるとアラーム」は親子に端末を貸与し、7~10m離れると、親機のアラームが鳴る仕組み。端末のコストがかかるため、まず横浜店から試験的に順次導入していく。

 同社によれば、今回の新サービスは、2004年度から開始した現場提案制度の成果だという。同社は2004年9月に「新タカシマヤ提案運動」で、社員や契約社員のほか取引先も含めた高島屋店内の関連従業員全員から提案を募っている。これまで約700件の提案があり約60件が採用された。

 「第1回目は全提案を経営者にそのまま届けたが、今では、いったん事務局で予備選考をさせてもらっている。その代わりに、これはというアイデアはできるだけ実現するよう事務局も尽力している」(事務局を担当する企画本部の松本拓也経営企画担当課長)という。

 今回実現したサービスは、子会社の社員の発案がきっかけ。当初の提案は、「子供にGPSを持たせて迷子をなくしたい」だったが、GPSの位置情報では店内だと何階にいるのか把握できない。事務局などで代替案を議論し実現性を見出したのが、今回の2つのサービスだった。

 迷子対策の提案のほかにも「カウンターで杖や傘を置く際に滑らないように、携帯用の滑り止めシートを店員に配備する」「会員カードを忘れても後日ポイントを付与できるようにする」といった提案が2007年度は採用になり、実現に動いている。