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CHINTAI
街の不動産店をITで囲う、撤退相次ぐ有料誌も拡大

西 雄大=日経情報ストラテジー 2008/05/22 日経情報ストラテジー
出典:日経情報ストラテジー 2008年2月号62ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

転勤や新入社(学)の時期に欠かせないのが住宅関連の情報だ。日本でいち早く間取り図を載せた雑誌を作ったのが、CHINTAIである。ウェブや無料誌に他社が力点を置くなか、他社が撤退する有料誌にも力を入れる。空白地区に創刊するなど紙媒体とウェブで広告主の不動産仲介会社に訴求する。もう1つの強みは、広告主の業務改革を支援するツールを提供することだ。

 賃貸住宅業界は、年末から春先にかけて繁忙期となる。転勤や入学などによる引っ越し需要が多いからだ。新居を探す際に役立つのが、住宅情報が載ったウェブサイトである。遠方でも自宅にいながらにして探せる手軽さで人気となっている。不動産仲介会社から物件情報を集めて掲載すればよく、参入障壁が低いことから、様々な企業が参入し競争は激化する一方である。

 ウェブサイトを強化しながらも、紙媒体にも力を入れる企業がある。CHINTAIがそれだ。「おそらく日本で最初ではないか」と石川貴社長が説明するように、1975年にすべての間取り図が付いた賃貸住宅情報誌をCHINTAIの前身ダイケイが発行した。

●CHINTAIの会社概要
●CHINTAIの会社概要

 CHINTAIの特徴は大きく2つある。1つが、有料で賃貸住宅に特化した情報誌を全国展開していることである。インターネットが普及する前には、各社が有料誌を発行していたが、今や全国的に展開するのはCHINTAIだけだ。競合他社の多くは有料誌を休刊させて、無料誌に注力するなどほかの戦略を採っている。つまり、物件を探すのにタダで情報が手に入る時代となったのだ。だが石川社長は「当面雑誌をやめるつもりはない」と言い切る。2007年8月には高知県版を創刊するなど、逆に空白地区を埋めようとしているほどだ。

 都市部は物件数も多いこともあって、ウェブサイトへの移行が進んでいる。一方で地方は読者・広告主ともに紙媒体を好む傾向があるという。全国展開する同社にとっては、紙媒体の広告価値が大きい。

 有料誌の最大のメリットは、コンビニエンスストアの店頭に並ぶことである。目に触れる機会が多い。しかも100~260円と低価格ではあるが購入して情報を得ようとしているので、精度の高い見込み客に訴求できる利点がある。有料誌の販売収入は全社売り上げの2%ほど(大部分は広告収入)だが、継続していく価値がある。

不動産仲介会社シエル(東京・新宿)の池袋店。CHINTAIが提供するCRSを活用して業務改革に取り組む。CHINTAIは有料誌にも注力し、全国で32版を展開している
不動産仲介会社シエル(東京・新宿)の池袋店。CHINTAIが提供するCRSを活用して業務改革に取り組む。CHINTAIは有料誌にも注力し、全国で32版を展開している
写真撮影:稲垣 純也

広告の“おまけ”でシステムを提供

 CHINTAIのもう1つの強みが、情報システムだ。2001年に導入したCRS(CHITAI リアルター サポートシステム)と呼ぶ広告出稿支援システムが代表例である。初期投資額は数億円。この仕組みが広告主である不動産仲介会社の囲い込みに役立っている。不動産仲介会社(個人も含む)は全国に13万社強あり(国土交通省調べの2006年度宅地建物取引業者数)、そのうち2700店が導入している(2007年10月現在)。不動産業界をウオッチしている三菱UFJ証券の石島利浩シニアアナリストは「広告出稿だけでなく、業務効率を向上できるインフラを提供していることが他社との違い。CRSを核にして業績を伸ばしてきた」と分析する。

 仲介会社はCRSを無料で利用可能。CHINTAIと年間契約し広告出稿料金を支払う以外は利用料金はかからない。月間の広告出稿料の目安は約10万円からである。つまり広告の契約をしさえすれば、システムが「おまけ」として使えるのだ。

 仲介会社は地場の中小企業が多く、台帳を作成して物件を管理したり、業者間で物件情報を共有するにもファクスでやり取りしたりと情報化が必ずしも進んでいない。不動産仲介業向けのパッケージソフトも販売されているが、導入には数十万円以上かかってしまう。中小の仲介会社にとっては、大きな負担となる。大手チェーンに対抗するために、地場の仲介会社は広告を出稿し露出を増やさざるを得なくなってきた。CHINTAIはCRSを活用することで、地場の仲介会社からの出稿を取り込むとともに、広告主の業務改革を支援する仕組みを提供してきた。

データベース作りを手伝って囲い込み

 無料とはいっても、業務プロセスを一通りIT(情報技術)化できるだけの機能は付いている。

 不動産仲介会社の業務は、家主から管理を委託されている物件に借主を探すことで手数料を稼ぐ。根本となる物件情報をCRSによって電子化し、仲介会社の業務プロセスのIT化を進める。

●CRSを活用した広告出稿の流れ。出稿だけでなく業務全般の効率化を目指す
●CRSを活用した広告出稿の流れ。出稿だけでなく業務全般の効率化を目指す
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 CRSを導入するには、まずソフトウエアをパソコンにインストールし、自社で管理する物件をCRSに登録していく。住所や建物の階数といった基本情報などだ。これが各社個別の物件データベースとなっていく。このデータベースに物件に関する様々な情報を登録することで、業務効率の向上につなげていく。

 例えば、仲介会社の業務には、物件の仲介以外にも契約更新や入退出時といった管理業務がある。賃貸契約の場合、契約期間が決められている。CRSには、物件ごとの契約期間を登録できる機能がある。すべての物件について契約を継続するか退去するのかを漏れなく把握できることで、空家となってしまう可能性を減らせる。また物件を探すために来店した顧客に対しても、台帳をめくって網羅的に探さなくともデータベースに条件を設定するだけで検索できる。

 CHINTAIの営業担当者が、新規の営業活動でCRSを広告主に見せた時に評判が良いのが、物件ごとに付随する情報を登録できる機能だという。例えば、契約中の顧客からの問い合わせがあった際にも役に立つ。プロパンガスが故障した場合にはどうすればよいのかといった付帯設備に関する連絡先を登録でき、借主からの問い合わせに誰でも答えられる体制になる。

 CRSで作成したデータは、ボタン1つでCHINTAIへ出稿できる。ウェブサイトには2時間後、紙媒体には1週間後には掲載できる。新鮮な情報を提供することで、広告の効果を高められる。以前は手書きで入稿していたため、紙媒体だと3週間前には締め切るなどの制約があった。

広告主と密度の高い会話が可能に

 CRSが広告主の業務プロセスの一部に組み込まれることで、囲い込みに一役買っている。2006年6月からCRSを活用する三慶建物(東京・文京)は自社管理物件をすべてCRS内に登録し、広告を出稿している。山本剛店長は「間口は広げたいので多くの媒体に出稿するが、CRSを活用することで便利になったこともあり、CHINTAIを主力に考えて出稿している」という。

 業務改革を支援する仕組みを提供することで、広告出稿の営業活動も変わってきた。CHINTAI本社営業部の春名太郎マネージャーは「システム投資額も含まれた広告料金だという話ができ、CRSを活用するだけでも人件費削減などで採算が取れると言える」と話す。広告主にCRSを導入してもらうと年間契約となるため、毎月契約を継続するかどうかといった心配がなくなる。訪問した際には、使い方のアドバイスをしたり、他社での活用事例など密度の高い話ができる。

 CHINTAIは今後もCRSを核に仲介会社の囲い込みに力を入れていく考えだ。

情報の鮮度を上げていくことがCRSの役割
石川 貴 社長
石川 貴 社長
いしかわ きよし氏●1969年生まれ。住友銀行などを経て2001年8月CHINTAI入社、2003年10月CHINTAIの親密会社であるエイブルに転籍、2005年6月からCHINTAI代表取締役に

 CHINTAIの前身の時代(不動産仲介会社ダイケイの住宅紹介誌部門)から常に心がけてきたことは、正しい情報を届けようということだった。当時不動産情報といえば、「空き家あり」といった少ない情報の張り紙が電柱に張ってあるだけだった。実際に店舗へ行ってみると、既にその物件はなく、少ない情報の中から選ばざるを得なかった時代が長かった。そんな時代に、当時初めて全室の間取り図が付いた雑誌を発行するなど新しい分野に挑戦してきたという自負がある。

 CRSは不動産仲介業務を1つの情報で一気通貫できる仕組みを目指したもの。業務プロセスの情報化を進めることで、情報の鮮度を売りましょうと広告主には話している。発売の3週間前にしか入稿できなかったころは、雑誌を発売したころにはもう契約済みだったりしたが、CRSを導入したことで情報の鮮度は向上してきている。

 今後考えなければならないのは、ウェブサイトと雑誌のすみ分けだ。2006年に誌面を仲介会社別から沿線別に変えるといった読者が見やすいように刷新するなど紙媒体の良さを引き出すことに力を入れてきた。雑誌は、物件情報だけでなく読者が参考になる知識を提供するなど特徴を出していかなければならない。

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