サークルKサンクスで「カルワザクラブ」などを担当するサービス・収納決済部 決済・会員サービスバイヤーの久保田雄一氏
サークルKサンクスで「カルワザクラブ」などを担当するサービス・収納決済部 決済・会員サービスバイヤーの久保田雄一氏

 コンビニエンスストア大手のサークルKサンクスは顧客会員のデータを利用して、はがきや携帯電話メールを通じてクーポンを配布する新商品の販促活動を強化している。会員の属性情報を生かし、商品特性に応じて対象顧客を絞り込んでアプローチしているのが特徴だ。

 サークルKサンクスのポイントカード「カルワザクラブ(KARUWAZA CLUB)」の会員数は34万7000人(2008年3月末時点)で、毎月1万5000人程度増加している。会員数ではセブン-イレブン・ジャパンのポイントカード(電子マネー)「nanaco(ナナコ)」の約563万人(2008年3月末時点)などに比べて少ないが、同業他社と異なり、「すべてが名前、住所、メールアドレス、性別、年代などを登録してくれる“熱心な会員”だ」(カード戦略を統括するサービス・収納決済部決済・会員サービスバイヤーの久保田雄一氏)という。

 この情報基盤を生かして、新商品を買ってくれそうな会員に直接アプローチする取り組みを始めている。ダイレクトメールによる販促としては2007年秋、価格が通常よりも10円高い130円の高級缶コーヒー「ジョージア クリーミーデミラックス」の店舗無料引換クーポンを郵送した。

カルワザクラブ会員の携帯電話に配信される電子クーポンの例。無料で伊藤園の“メタボ対策用”茶系飲料と引き換えることができる
カルワザクラブ会員の携帯電話に配信される電子クーポンの例。無料で伊藤園の“メタボ対策用”茶系飲料と引き換えることができる
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 「サークルK」「サンクス」の店舗で商品に引き換えられる。30代以上の男性に絞り込んで約3万人に送付したが、50~60%が実際に来店したという。「対象を特に絞らず、同じような販促を実施したときには2~3%程度の反応だったのに比べると、非常に反応率が高かった」(久保田氏)。

中高年に絞ってメタボ対策飲料の電子クーポン

 一方で2008年3月から4月にかけて、新商品「伊藤園 引き締まった味 カテキン緑茶」の電子クーポンのメールを携帯電話に配信し、先着3万人に無料引き換えサービスを提供した。携帯電話のカルワザ会員(7万人超)のうち、対象となる中高年世代の会員にメールを配信。受信した会員は携帯電話の簡単な操作で電子クーポンを取得したうえで、店舗のレジで店員に対象商品を渡して携帯電話をかざせば、自動的に商品価格分の割引を受けられる。

 今年4月以降、企業の健康保険組合などは40歳以上の被保険者に対してメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健康診断・保健指導を実施することが義務付けられた。この新商品は特定保健用食品で、継続的に飲めばコレステロール値を下げる効果が期待できる茶系飲料。メーカーにとっては対象となる世代に絞って新商品を告知できるメリットがあり、サークルKサンクスにとっても来店や継続的な購入を促す効果がある。

 印刷などの準備に時間がかかるダイレクトメールと異なり、電子クーポンは即時に配信できる。久保田氏は「電子クーポンの反応率はまだダイレクトメールに及ばないが、今年度中には逆転しそう。紙のクーポン券を持ち歩く気恥ずかしさがない分、男性の顧客に利用してもらいやすい。今後は会員が住む地域の気候の変化に応じた電子クーポンを配布するといった取り組みも試したい」と話す。