AIS検定の研修の様子。車体の構造を示しながらポイントを解説している
AIS検定の研修の様子。車体の構造を示しながらポイントを解説している
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 中古自動車オークション大手、オークネットの子会社で、中古車検査を手がけるオートモビル・インスペクション・システム(東京・千代田区、以下AIS)が、車体の品質検査能力を認めた販売員に認定証を発行する事業に力を入れている。

 修理歴の評価など、品質検査の基礎を教える研修と、研修内容の理解度を確認する試験を組み合わせて提供。試験の合格者に認定証を発行する「AIS検定」事業を2007年6月に開始した。既に中古車販売店の販売員を中心に約200人の受験者があり、このうち170人に認定証を発行した。

 AISは消費者保護を目的とする消費者基本法が2004年に施行されたことや、消費者の品質に対する意識の高まりを受け、「中古車販売店が車体の品質状況を顧客に正しく説明する重要性が年々高まっている」(徳橋昌典・教育事業部長)と考えていた。ところが、中古車を検査し、品質を正しく評価して顧客に説明できる人材を認める公的な資格制度は存在しない。そこで、自ら事業化することを決めたという。

オートモビル・インスペクション・システムの徳橋昌典・教育事業部長(写真右)と水沼哲也・教育事業部教育チームインストラクター(写真左)
オートモビル・インスペクション・システムの徳橋昌典・教育事業部長(写真右)と水沼哲也・教育事業部教育チームインストラクター(写真左)

 研修では、車の構造を理解したうえで、車体の修復歴や損傷・消耗度合いを評価し、その内容を顧客に分かりやすく説明する方法などを教えている。例えば、「車体を少しぶつけただけのように見える場合でも、その位置によっては骨格構造に深刻なダメージを与えている可能性がある」(水沼哲也・教育事業部教育チームインストラクター)。このような品質上の問題を販売員が見過ごしたまま中古車を販売してしまうと、後になって顧客とトラブルになる可能性もある。

 また、下取りの際にも、車の品質を正当に評価し、その内容をきちんと説明できれば、査定に対する顧客の納得感も得やすくなる。「販売店の経営者からは『認定証を取得した販売員が自信を持って商談に臨むようになった』など、良好な反応をいただいている」と徳橋部長は話す。

 今後の目標は検定事業自体の黒字化だ。2008年度以降、試験を実施する拠点を増やし、より多くの受講者を獲得して収益力を高める考えだ。より専門的な検査能力を評価する上級資格の検定制度も2009年をめどに始めたいとしている。