独自の改善活動「MKK」を進める松屋フーズの定食屋チェーン「松屋」の外観
独自の改善活動「MKK」を進める松屋フーズの定食屋チェーン「松屋」の外観
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 牛めしなどの定食メニューを販売する飲食店「松屋」を展開する松屋フーズが、店舗を巻き込んだ独自の改善提案制度「MKK」(松屋改善改革)で効果を上げている。2007年度には上期に272件、下期に446件の合計718件の改善提案があった。

 このうち、上期に最優秀の提案「ゴールド賞」に輝いたのは、ある店舗の近くにある警察署内の留置場へのお弁当の納品で、年間で1000万円以上の売り上げ増に貢献できる見込みになったアイデアだ。この店舗では店員が毎日約150食分のお弁当を警察署に届けている。来店客を待つばかりの「待ちの営業姿勢」が一般的な定食屋チェーンにあって、店長自らが近隣に営業に出向くことを提案してつかんだ販路拡大による増収策の好例だ。消費の減少という逆風のなかでの積極的な営業改善提案が高く評価された。ゴールド賞を勝ち取ったエリアマネジャーは松屋フーズの社内報2008年新春号の表紙を飾った。

 ほかにも、2007年上期には、中国語マニュアルの作成に関する提案が「シルバー賞」を、消耗品の補充ロスを減らす工夫の提案が「ブロンズ賞」を獲得した。こうして松屋フーズは改善提案を出した社員を称えるとともに、他店への波及効果を期待している。

毎年数百件の改善アイデアが現場から出る

 松屋フーズは2002年4月にMKK提案制度を導入し、本社や店舗で働く社員やパート/アルバイトの従業員から広く、現場を改善するアイデアを集めてきた。毎年数百件の提案が寄せられている。

 それらを担当部署が審査して毎月「提案賞」を決めているほか、半期に一度は毎月の提案賞の中から「MKK委員会」が着眼点の良さや企画力、売り上げ実績などに応じてゴールド、シルバー、ブロンズといった具合にランク付けして社員を表彰。該当者には1万~3万円の賞金を手渡している。

 過去には、マニュアルに代表される従業員教育ツールの開発・改訂や、システムによる帳票のペーパーレス化、券売機や店内表示装置の改良、販促物の掲示位置や掲示時間帯の提案などで、様々な受賞例がある。

 2005年8月からはMKKの一環として、新メニューの開発アイデアの提案である「美味しさ創造提案」もMKKに加えた。一般社員はもちろん、パートやアルバイトの従業員であっても、飲食店の醍醐味の1つであるメニュー開発に参加できるようにした。

 これまでには「豚テキ定食」や「豚キムチ定食」「冷やしうどん」「マーボーハンバーグ飯」など、現場からのアイデアが基になって開発が始まり、実際に商品が店頭に並んでヒットしたものも数多くある。自宅で新メニューの試作品を作り、写真を添えてMKKに応募してくる熱心な従業員もいるという。

 松屋フーズの現場力は、従業員を巻き込んだMKKによって支えられている。