慶応義塾大学SFC研究所キャリア・リソース・ラボ(神奈川県藤沢市、代表:花田光世教授)は、ネットコミュニティー運営ベンチャーのガイアックスと、企業の採用内定者を対象にしたSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の効果に関する共同研究を発表した。2008年1~2月に調査を実施し、新卒内定者向けSNSを導入している企業23社の人事・採用担当者と、内定者約600人(大学生・大学院生が中心)が回答した。

 少子化の進行によって企業の採用難が続く状況で、新たな内定者引き留め策として、若者にとって親しみやすいSNSの活用が広がっている。日本生命保険スタッフサービス・ホールディングスなどが導入している。

 今回の調査では、内定者側の82%が「内定者同士の交流が深まっている」、68%が「入社に対する期待が高まっている」と回答しており、一定の効果があるようだ。内定先に対し、入社前に様々な不安を抱える内定者にとって、特に「同期との人間関係に関する不安」や「自分の希望ではなかったのではという不安」などの解消に効果があると分析している。

 採用企業の内定者フォローで「役に立ったこと」の順位で、SNSは「懇親会」に次ぐ2位。「集合研修」「eラーニングなどによる在宅研修」「社内見学会」などより順位が高い。入社前の過度な拘束はあまり評判が良くないようだ。

 一方で、採用企業側の担当者にとっては、SNSに書き込みをしたり、内定者の質問に答えたりする必要があり、30%の担当者が「負担が増した」と回答している。それでも、61%の担当者がSNS導入の費用対効果は「高い」と回答しており、交通費や場所代などがかからない低コストの交流手段として重宝されているようだ。

 調査報告書はウェブサイトで公表されている。