過去のデータから今後を予測
(2)の駐車場データ分析は,各料金回収機から集めたデータをほぼリアルタイムに分析する機能である。社員は駐車場の名称や地区,期間,取り出すデータの種類などを選んで情報を検索できる。検索したデータは,ExcelファイルやCSV形式でパソコンにダウンロードして,グラフ化や分析が可能になった(図2)。
図2●駐車場データ分析画面 場所や期間を指定して,稼働率や収入などを確認することが可能。このデータを基に今後の新料金や新しい駐車場の設置などを検討できる。 [画像のクリックで拡大表示] |
「駐車場の経営を考える場合,ある一定の稼働率で回るのが理想」(横澤氏)。常に満車の状態が続くと,利用者にいつ行っても混んでいるというイメージが付き,利用者の満足度が下がってしまう。満車が続く場合は,駐車場の新設や料金の引き上げが考えられる。新システムでは担当者が自発的にこうした分析ができる土台を整えた。
同社はこの分析システムの先に,「将来の予測ができるシステムの構築」(垣見氏)を見据えている。稼働率が急激に変化した駐車場を自動的に見付けて警告を出したり,料金の変更や駐車場の追加の影響を予測できるシステムだ。「駐車場の稼働率に影響を与えると思われるパラメータは多い。現在,どのパラメータによって稼働率が変わるかというノウハウを社員がためている時期」(横澤氏)だという。
ライフサイクルを管理可能に
(3)の管理業務支援は,駐車場の情報を集約し,ライフサイクルを管理できるようにするもの。駐車場のライフサイクルは,事業地を決定し,工事,オープンを経て,土地の借り上げ期間が満了し更地に戻すところで終わる。これをシステムで管理し,担当者が変わっても状況を把握できるようにした。
実際には,事業地が決まると,担当者が駐車場の名称,住所,地図上の位置,駐車可能台数,必要な機材などを入力する。そして,駐車場のオープン日を決定し,それに向けて機材や工事を発注する。この発注などをある程度自動化できるようにした。機材搬入・工事の終了といった情報は,機材業者や工事業者がWebサーバーに直接アクセスして入力する仕組みを整え,入力ミスやタイムラグを減らした(図3)。業者がWebサーバーにアクセスする際は,SSL-VPNを介して接続する。
図3●Rismのシステム概要 小型の駐車場からはDoPa網,大型の駐車場はADSLやFTTHを使ってデータをセンターに送る。また,コールセンターや工事業者も情報を参照/更新できるようにSSL-VPN装置を介してシステムに接続できるようにした。 [画像のクリックで拡大表示] |
顧客へのレスポンスを向上
(4)のコールセンター業務支援は,各種問い合わせに迅速に対応できるようにしたシステム。(3)の管理業務支援情報の一部をコールセンター向けにカスタマイズし,コールセンターからも閲覧できるようにした。例えば,顧客がトラブルに遭遇した駐車場の料金回収機の情報を検索して,その原因を調べたり,領収書を後送する手続きを取ったりできる。
問い合わせを分類する仕組みを整えたことで,過去の対応も簡易に検索できるようになった。「情報がたまれば,利用者の不満を分析し,満足度向上に活かせる」(横澤氏)。
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