フジスタッフ ホールディングスの横山和央システム部長
フジスタッフ ホールディングスの横山和央システム部長

 人材サービス大手、フジスタッフホールディングスのシステム部は、システム業務に関する情報の共有を強化している。今年から、業務システムを導入・刷新するたびに、担当した社員が講師となり、約20人のほかのシステム部員を対象に勉強会などを開くことにしている。既に2つのシステム構築について勉強会を実施。1つは登録スタッフにキャリアアップを促すための「ランクアップ制度」を基幹システムに反映させるための作業で、もう1つは社内向けeラーニングシステムの構築だ。

 ランクアップ制度とは、グループ会社で工場向けの人材派遣を手がけるアイライン(東京・千代田区)が、登録スタッフに対して勤続年数に応じて奨励金を支給するといった制度。システムの全体像を理解するにはまず、スタッフとじかに接しているアイラインの支店と、そこから様々な情報を吸い上げてデータベースで管理するアイライン本部の双方で、どのように業務が流れているのかを把握する必要がある。勉強会の内容はシステムを導入している現場での業務プロセスから、システムそのものの構成まで多岐にわたる。

 システム部ではこれまで、社員1~2人が外部のIT(情報技術)ベンダーと協力して構築や刷新に取り組むケースが多く、特定のシステムの詳細については構築を担当した社員しか分からない状況に陥っていた。数年前に業務システムの構築を内製化した際、社員ごとに担当する分野を決めたのが発端だ。そのため、担当した社員が休んでいる時に社内でそのシステムを利用している部署から質問やサポートの要請があると、対応が遅れることがあった。横山和央システム部長は「担当者が休むとそのシステムを操作できないというのは困る。勉強会を通じて属人化を解消したい」と説明する。

 情報共有はシステム構築の効率化という点でもメリットがある。今後構築するシステムを既存のものに連携させたり、既存のものに似た構造のシステムを作る時など、「担当領域以外のシステムについても詳しければ、現場がどのような機能を求めているのかを聞き出したり、システムを設計したりする作業がスムーズにいく」(横山部長)。勉強会を中心に、システム部門の教育に力を入れていく計画だ。