福利厚生代行サービス大手のリラックス・コミュニケーションズ(東京・新宿区)が、コンテンツ管理システム(CMS)を核にした業務改革を推進している。2007年4月に約3億円を投じて、FatWire(東京・中央区)のCMSをベースにした新システム「リロコア」を導入。その後2008年1月までに、予約管理などに使う基幹情報システムとの連携を強化してきた。

 リラックス・コミュニケーションズが運営する「福利厚生倶楽部(リロクラブ)」は、企業や官公庁などの福利厚生を代行するサービスで、約6700社・団体(2008年2月末時点)と契約している。全国約3000のリゾート施設から宿泊サービスなどを仕入れて、契約企業の従業員向けに特別料金で提供できるようにしている。案内用にカタログ冊子や専用ウェブサイトを制作し、福利厚生倶楽部のコールセンターやウェブサイトで予約を受け付けている。

リラックス・コミュニケーションズのCIO(最高情報責任者)である石川禅・執行役員
リラックス・コミュニケーションズのCIO(最高情報責任者)である石川禅・執行役員

 CIO(最高情報責任者)を務める石川禅(ゆずる)執行役員は、約4年前にコンサルティング会社から転職し、肥大化していた情報システムの刷新を任された。「当時の経営陣はコールセンター用システムの刷新が必要と考えていたが、私の経験から、もっと“上流”の業務に手を入れなければ効果は出ないと考えた」。

 “上流”業務には、宿泊サービスの企画や、カタログ冊子やウェブサイトのコンテンツ制作などが該当する。従来は、宿泊サービスを企画し料金を決めたら、カタログ向けやウェブサイト向け、携帯向けサイト向けなどそれぞれ別々に、料金や写真、紹介文などを登録する必要があった。宿泊の料金体系は、同じ施設でもシーズンや平日・休前日、1室何人かなどによって異なるため、これらが正確にカタログやサイトなどに反映されているかを確認する作業に時間を要していた。

 新システムでは、いったんCMSに宿泊施設情報や料金体系を登録すれば、カタログやウェブサイトなどに自動的に反映される。これによって、2007年度のコンテンツ制作費は前年比で3割以上削減できた。さらに、コンテンツ制作担当者はデータ登録・確認作業から解放され、施設の売り込み方など本来の企画業務に時間を割けるようになった。

「福利厚生倶楽部」のカタログ
「福利厚生倶楽部」のカタログ

 2008年1月からは、コールセンターで使う予約管理システムとCMSを連動。これまでコールセンターの担当者は予約内容に応じて、カタログなどで料金を調べて入力する必要があったが、新システムではCMSに登録された料金が自動入力される。これによって入力ミスによるクレームがほぼ無くなったという。

 CMSには、登録済みの宿泊サービス情報などをXML(拡張可能なマークアップ言語)形式などで柔軟に出力できる機能がある。「今後は社内外に存在する、施設の口コミ情報や地域情報などと組み合わせて、『マッシュアップ』したサービスを提供するようにしたい」(石川執行役員)という。