写真●堀場製作所の野崎治子管理本部キャリア開発・人事企画担当副本部長
写真●堀場製作所の野崎治子管理本部キャリア開発・人事企画担当副本部長

 堀場製作所の野崎治子管理本部キャリア開発・人事企画担当副本部長は、2月8日に横浜市で開かれた「HRD JAPAN(能力開発総合大会)2008」(主催:日本能率協会)で、同社のユニークな人事・組織上の施策を披露し、来場者の関心を集めた。社是である「おもしろ おかしく」の考えに基づき、前向きに行動する社員や社風を作るための様々な取り組みだ。

 何事にも前向きな社風を作るため、野崎副本部長は人事・組織上の施策として、加点主義方式の人事評価と社員同士のコミュニケーションの活性化を心がけているという。具体的な取り組みとしては、(1)社員個人の目標を全社で共有する制度、(2)社員に自らの長所を考える機会を提供する「マイブランド研修」の実施、(3)業務改善活動「ブラックジャック・プロジェクト」などを挙げる。

 (1)は期初に定める社員の個人目標を、社員と所属部門の上司だけでなく、同じ部署のほかの部員とも協議して設定するもの。部内で目標を共有しつつ、社員一人ひとりにより意識の高い目標を定めるように促すための措置だ。決定した目標は、同社のイントラネット「HORNET」で公開し、全社員がいつでも参照できるようにしている。

 (2)のマイブランド研修は、社員が自らの長所を把握し、いかにアピールするかを考える機会だと位置付けている。似たような能力を持つ人たちのチームよりも、様々な得意分野を持つ人たちが多様な力を発揮するチームのほうが、より大きな成果を得られるという同社の考えに基づく。若手社員からマネジャーまで、幅広い社員を対象とする。

 (3)のブラックジャック・プロジェクトは、トランプのブラックジャックで最強の「21」にちなんで、「21世紀に最強の企業を目指す」という意味を込めて開始した。野崎副本部長は韓国の子会社の社員が工場のショールーム化を提案した事例について触れながら、「外部の人に見せられるように工場をきれいにしようというモチベーションがわいてくる素晴らしい提案だった。このように社員の意識改革につながる活動を推奨している」と、活動の狙いを説明する。

 改善活動の成果は毎月1回、契約社員を含むほぼ全社員、約1000人が集まる全社朝会で紹介している。「提案した社員に自信を与え、より大きな成果が生まれることを期待している」と野崎副本部長は話す。

 これらの施策は実際に、前向きに行動する社風作りに効果をもたらしている。例えば社内公募制度や海外研修制度には、社員の応募が殺到している状態だ。競争が激しく、結果的には落選するのが当たり前になっているが、堀場厚社長が挑戦してくれたことに感謝するメッセージを一人ひとりに送ることで、高いモチベーションを維持できているという。