写真●日本ハムの早川祥子社外取締役
写真●日本ハムの早川祥子社外取締役

 日本ハムが女性の管理職登用を積極的に進めている。同社が女性管理職育成に本格的に取り組み始めた2005年度には全管理職560人中わずか1人しかいなかったが、2007年度は591人中10人に増えた。引き続き、「管理職の5%を女性に」の目標を掲げ、女性管理職候補の研修や、働きやすい環境作りを進めていく。この取り組みを同社幹部が日本能率協会が2月6日に横浜市で開催した「HRD JAPAN 2008」で講演した。

 同社で女性社員の管理職登用を推進してきたのが早川祥子社外取締役である。資生堂出身で2003年に日本ハムの社外取締役に就任した早川氏は、まず同社の内情を把握しようと半年かけて約50カ所の事業所を回った。そして30代以上の女性が職場に見当たらないことに驚いたという。2003年当時の同社は500人以上いる管理職のうち、女性が1人だけという有様だった。

 危機感を抱いた早川氏は、当時の藤井良清社長(現会長)に、女性活用・登用や、顧客満足度を高める取り組みを担当する「CS室」の新設などを提言した。業績拡大には女性の活躍が不可欠であることを訴えたり、時には「脅しの早川」との異名が付くほどの強い姿勢で他の役員らに迫りながら、これらの提言を実現させていった。

 CS室新設を提言したのは、顧客満足度向上だけでなく、管理職ポストを増やす狙いも込めていたのだという。実際にCS室長には女性社員が就いた。

 全社を挙げての職場改革は、2005年から取り組んだ。まず、「女性年」を社内外に宣言。各職場に、女性が働きやすい環境を整えるための目標を設定させた。さらに男性の管理職には「女性社員活用セミナー」への出席を義務付け、意識改革を促した。

 女性社員の意識改革にも力を入れた。同年に「女性ビジネスリーダー制」と呼ぶ、管理職候補の女性社員を対象とする研修制度を開始。財務の基本知識やプロジェクト管理手法、企画の立案手法などを学ばせ、その内容を担当役員や直属の上司の前で発表させた。

 同研修は2005年からの3年間で66人が受講した。女性社員が自信を付ける機会となっただけでなく、「発表を聞く側の役員たちを、『当社の女性社員たちはこんなに優秀だったのか』と驚かせることもできた」(早川氏)という。

 一連の施策は着実に成果を上げ、2007年度には女性管理職の数が10人に増えた。女性活用策と並行して2005年度に改正した育児支援制度などを生かしながら、2010年に管理職中の女性比率を現状の2%弱から5%へと増やす目標を掲げている。