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 富士火災海上保険は、インターネットを活用した保険契約サービスを本格化する。2008年2月1日から、携帯電話を通じて家財保険を契約できる「らくトクねっと-Plus」を開始。昨年8月から始めたPC向けサービス「らくトクねっと」と合わせ、2008年度だけで新規契約の約3割(13万契約、収入保険料換算で15億円)をネット経由にシフトする計画だ。

 2月1日から始める携帯電話向けサービスでは、保険加入者が携帯電話の画面上で、契約プランや支払方法などを選んだり、氏名を入力したりできるようにした(写真)。「保険担当者との対面契約に比べ、時間や場所の自由度が高い。申し込みから契約成立までの時間が、対面契約の約半分(約25分)になる利点も大きい」(火災保険本部の坂本圭司本部長)。

 ネット経由での契約を促すため、保険料は対面契約時より10%安くする。ただし、重要事項の説明といった契約の厳格性を担保するため、不特定多数にサービスを公開することはしない。同社代理店が勧誘した顧客にのみ提供するほか、契約できる保険も賃貸入居者向けの家財保険に限定する。

 富士火災がネット経由での契約に本腰を入れるのは、顧客の利便性向上やサービスの差異化だけではない。契約にかかわる間接コストを削減する狙いもある。契約件数の約3割をネット経由にシフトするだけで、契約書やパンフレットなどの紙資源を年間150万枚削減できるという。システムへの入力処理といった事務作業も減らすことが可能だ。

 ネット経由へのシフトにより、「年間で約2000万円のコスト削減効果がある」と坂本本部長は説明する。同社は約4000万円を投じてPC・携帯電話向けの契約システムを構築したが、約2年で投資額を回収できる見込みだ。