都内のJR大崎駅構内にあるコンビニ「NEWDAYS」に試験的に設置されたSuica対応のセルフレジ
都内のJR大崎駅構内にあるコンビニ「NEWDAYS」に試験的に設置されたSuica対応のセルフレジ
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 東日本旅客鉄道(JR東日本)のグループ企業が駅構内で運営するコンビニエンスストア「NEWDAYS(ニューデイズ)」の2店舗に、同社の電子マネー「Suica(スイカ)」専用のセルフレジが登場した。2007年11月27日から、JR山手線が通る田町駅と大崎駅にあるNEWDAYSに実証実験のため、2台ずつ合計4台のセルフレジが置かれている。いつまで設置するかは未定だが、現時点でも顧客は店舗でセルフレジを体験できる。

 セルフレジとは、顧客が自分自身で操作するレジのことで、その場に店員がいないことから、無人レジと呼ばれることもある。今回NEWDAYSが設置したのは、寺岡精工が開発したセルフレジ「Quick Self(クイックセルフ)」。顧客は画面の操作案内に従って、最初にSuicaの残高を端末で確認し、次いで商品のバーコードを自分でスキャンして合計金額を計算、最後にSuica対応のカードや携帯電話をタッチして会計を済ませ、セルフレジから出てくるレシートを受け取って帰る。商品の袋詰めは自分でする。

 年齢の認証が必要な酒とたばこはセルフレジで購入できないが、それ以外の商品は購入できる。新聞など、バーコードが付いていない一部の商品については、タッチパネルから商品名を選択して購入することになる。

既に1日に数百人が利用

 実験中は、午前8時から午後5時までセルフレジを利用できる。店内には、セルフレジの存在を顧客に知ってもらうための掲示物が随所に置かれ、田町駅のNEWDAYSでは1日に約350人、大崎駅では1日に約250人が使うまでに顧客に浸透した。そのうちの半分以上が朝の通勤・通学時間帯での利用だ。当面の目標は1台当たり200人、1日400人に利用してもらうことである。

 今回、田町駅と大崎駅の2カ所の店舗が実験場所に選ばれたのは、両駅はJR東日本エリアの中でも、特にSuicaの利用率が高いからだ。駅の近隣にIT(情報技術)関連の企業が多いことが、その理由のようだ。毎朝、乗客でごった返す山手線の各駅では、NEWDAYSの混雑もピークを迎える。駅に電車が到着するたびに、その直後には店内の通路が朝食などを買い求める顧客のレジ待ちの列で埋まってしまうほどだ。

 そんな時、セルフレジを使えば、通常のレジの待ち行列に並ばずに、さっと会計ができる。今はまだ、セルフレジにはほとんど顧客が並んでいないからだ。Suicaを持っている人なら、使ってみる価値はある。

 NEWDAYSの顧客は街の通常のコンビニ客とは異なり、1回の買い上げ点数が1~2点と少ないことがほとんどだ。そのため、自分でバーコードをスキャンする手間は少ないし、袋詰めもあまり気にならないだろう。セルフレジの操作に慣れてしまえば、15秒程度で一連の操作が終わる設計になっているので、レジ待ちの行列に並ぶよりは、はるかに会計時間が短くて済む。

 今はまだ不慣れな人がほとんどなので、観察していると15~30秒ほどかかっているが、それでもレジに数人並んでいる時なら、セルフレジを使ったほうが会計は断然早い。

 NEWDAYSを運営するJR東日本リテールネット(東京都新宿区)は今後、セルフレジの利用件数や導入コスト、セキュリティー、店内の設置位置、通常のレジを含めた店舗ごとの最適なレジ台数などを勘案しながら、本格導入を検討していくことにしている。実現すれば、顧客の会計の待ち時間を減らしながら、同時に店員の数も削減できるかもしれない。