写真 ニチロの幸田昇・取締役品質保証部長(写真中央)、競知之・生産管理部長兼ISO推進課長(写真左)、生産管理部ISO推進課の石井昌弘氏
写真●ニチロの幸田昇・取締役品質保証部長(写真中央)、競知之・生産管理部長兼ISO推進課長(写真左)、生産管理部ISO推進課の石井昌弘氏

 食品大手マルハニチロホールディングス傘下のニチロは、食品の安全に関するマネジメント・システムの国際規格である「ISO22000」を、2007年11月までに本社と全直営工場で取得した。品質表示の偽装などの問題によって、食品の安全に対する消費者の意識が高まったことを受け、食品の品質管理に対する社内の意識をこれまで以上に高めることなどを狙った。

 同社は以前から食品製造の品質管理に力を入れており、直営工場は製造工程に品質マネジメント・システムの国際規格「ISO9001」などを取得していた。ただし各拠点が個別に認証を取得していたため、工場ごとに取り組み内容に少しずつ違いがあった。

 また、「ISO9001にのっとった品質マネジメント・システムを長年運用してきたが、以前と比べるとシステムを改善するスピードが鈍ってきたと感じていた」(幸田昇・取締役品質保証部長)。そこで今回、工場間の取り組み内容の違いをなくすとともに、さらに本社と工場が一体となって品質マネジメントに取り組む体制を確立。全社体制でISO22000を取得した。

 認証を受けるに当たり、同社は大きく2つのことに力を入れて取り組んだという。(1)外部とのコミュニケーション体制の整備と、(2)従業員の品質マネジメントに対する意識向上である。

 (1)は、顧客や食品の安全を監督する官庁などから寄せられた意見や要請を本社で対応し、各工場に必要な情報を伝達する手順などを整えた取り組み。(2)では、食品製造の各工程が安全を確保するためになぜ必要なのかなどを従業員に再確認させた。

 これまで各工程を正しく運用してきたものの、作業者がその工程が必要な理由をどの程度理解できているかは分からなかった。今回の取り組みによって、「作業者の理解や意識向上が進んだことを実感できた」(競知之・生産管理部長兼ISO推進課長)という。