2007年2月から展開を始めたロフトのミニ店舗。POSレジの導入コスト抑制が課題になっていた
2007年2月から展開を始めたロフトのミニ店舗。POSレジの導入コスト抑制が課題になっていた
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 雑貨販売大手のロフト(東京都渋谷区)がIT(情報技術)コスト削減を着々と進めている。

 第1の施策が、携帯情報端末をPOS(販売時点情報管理)レジと接続するだけで、POSレジを増設したのと同等の機能を端末が持つようになる端末用ソフトと連携コネクターの開発だ。

 もともとロフトは2004年に携帯情報端末の導入を開始し、現在では合計1300台の携帯情報端末を全店に配備済み。これまで携帯情報端末の用途は売り場での在庫数の確認や検品などに限られていたが、独自開発のPOSソフトにより、レジ機能も持たせるようにした。

 今回の携帯情報端末用POSソフトは、2007年2月から展開し始めたミニ店舗業態(通称ミニロフト)で活用していく。ミニ店舗は約100坪の店内に1万数千点の商品が並び、約1500坪で8万~9万点の商品を陳列した従来の大型店の10分の1程度の小ささだ。にもかかわらず、2007年前半までは大型店と同様にPOSレジを複数台導入していたため、店舗の規模にIT機器のコストが見合っていなかった。そこでロフトは2007年秋から、ミニ店舗に見合ったシステムの「あるべき姿」を探ってきた。

 まず2007年9月から3店で、携帯情報端末にPOSのソフトを組み込んで、レジ会計処理を始めた。2007年9月の試行では特に問題が見つからなかったため、ロフトは1年で最も忙しいクリスマス商戦の2007年12月に、さらに6店に広げた。

 この施策によって、ミニ店舗のPOSレジの台数を減らせるようになる。顧客が急に増えて、「レジ応援」の要請があった時にだけ、店員は携帯情報端末をPOSレジ代わりに使えばいい。そのためにも、そもそも店員の数が少ないミニ店舗では、レジ係と売り場係の両方の仕事をこなせるように店員の「多能工化」教育も進める方針である。

店舗のサーバーレス化で年間2000万円削減目指す

携帯情報端末をPOSレジ代わりに使っているところ
携帯情報端末をPOSレジ代わりに使っているところ

 第2の施策が、各店舗にあるサーバーの撤去だ。同社は、2005年に全店のネットワークを光ファイバーの高速網に切り替えていた。このネットワーク導入を機に、まずは本部から各店舗の売り場の様子を見るウェブカメラを導入したが、2007年11月には仙台市にある店舗を「サーバーレス」化した。店舗からネットワーク経由でセンターにあるサーバーにアクセスすることで、ストアコンピュータの設置を不要にした。仙台の店舗で問題がなかったので、2008年春以降にオープンする新店舗はサーバーレスとする方針だ。

 2008年8月には、約半数の店舗で店舗サーバーがリースアップの時期を迎えるため、そのタイミングで一気にサーバーレス化を進める計画である。将来的には全43店をサーバーレス化することも検討しており、そうなると年間で2000万~3000万円のコスト削減につながる見通しだ。