近畿日本鉄道は,GPS機能と連動させて,列車の行き先や停車駅,ブレーキ位置などを知らせる運転士支援システムを2008年3月に稼働させる。安全対策の一環として導入するもので,複雑な列車編成や過密な運行ダイヤを背景に頻発する,運転士の“うっかりミス”を防止するのが狙い。

 同システムは,Windows CE 5.0を搭載したGPS機能付きモバイル端末720台を利用するもの。近畿・東海地区の11列車区ごとに,専用のサーバーを設置。運転士は毎朝,各サーバーから当日乗車する車両の種別(行き先や車両数,停車駅,ブレーキ位置など)や運行ダイヤ・データをSDカードにコピーし,運転台のアームに取り付けたモバイル端末に差し込んで利用する。

 列車の位置情報はGPSと加速度センサーを連動させて割り出すほか,トンネルなどのGPS障害地点では,地上からの無線通信によって位置情報を取得できるようにした。走行時にはGPS機能によって現在位置を特定し,事前に停車位置やブレーキ位置を音や画面で知らせる。これにより,運転士の「行き先の記憶違い」や「急行列車か普通列車の誤認」を防ぐ。

 開発は,同社子会社で鉄道車両の設計や開発,メンテナンスなどを手掛ける近鉄車両エンジニアリングが担当した。